俳優・歌手の
加藤和樹さんが、スペシャリストのもとを訪ねて〈心・技・体〉を磨く新企画の第1弾は、和の心・きものがテーマ。男性向けきもの専門店「銀座もとじ 男のきもの」で、社長の泉二弘明(もとじ こうめい)さんから浴衣を学びます。着用の際に必要なものと浴衣選びのポイントを教わった前回。今回は、泉二弘明さんお見立ての浴衣を実際に着てみます。
前回の記事はこちら>>浴衣のサイズは体に当てただけではわからない
加藤和樹さん(以下、敬称略):黄色とブルーの大きなチェックのほうは、前回、実際に着てみて僕にはサイズが合わないことがわかった浴衣。白と紺のストライプのほうが、泉二さんが見立ててくださった浴衣。体に当てただけではわからないものですね。
泉二弘明さん(以下、敬称略):帯を締めると裾が結構上がりますからね。やはり裄(ゆき)と身丈と腰回りのサイズをきちんと測って、仮縫いしてもらうのがいちばんです。では、ポイントを押さえながら着ていきましょう。
肌着を着ると浴衣姿も決まる
泉二:まずは浴衣に袖を通します。
加藤:やっぱり、この肌着いいですね。浴衣が直接肌に当たって擦れることもないし、何より、人に肌着姿を見られても恥ずかしくない(笑)。
泉二:ありがとうございます。プロデュースしたうちの息子は、パジャマとしても使っているようです。肌着を着たほうが、汗を吸いとる効果もありますし、着崩れ防止にもなるんです。
泉二:羽織って袖を通したら、浴衣の両袖口をつまんで真横に軽く引っぱり、“奴さん”のようにして、左右のバランスを整えます。
加藤:背筋は真っすぐ、ですね。
男性は衣紋を抜かない
泉二:はい。男性は衣紋(えもん)を抜かずに着るので、後ろ衿は首に沿わせ、背中心(後ろ身頃の縫い目)を自分の背骨の位置に合わせます。
共衿の端を左右合わせる
泉二:次に、浴衣の前を合わせます。このとき、共衿(地衿の上に掛けてある共布の衿)の端を左右合わせるようにします。
泉二:左右のバランスを均等にしたらそのまま手を下にずらし、まずは右側の身頃を胴に沿わせつつ体に巻きつけます。
泉二:次に左脇の腰の位置で、衿先を少しだけ引き上げるようにします。その上から、同じようにして左の身頃を体に巻きつけたら、手のひらでシワを伸ばしましょう。
腰骨下に腰ひもを結ぶ
泉二:腰ひもを結びます。大事なのは位置。男性の場合は左右の腰骨あたりの高さで、ひもをそわせるといいですよ。
加藤:普段ベルトをする位置よりも下ですね。“腰パンの位置”、と覚えておきます。