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きものの文様【熨斗(のし)】鮑の肉を薄くはぎ、伸ばして乾燥させた「のしあわび」が語源

2020.06.07

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きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。記事一覧はこちら

今日の文様07
熨斗(のし)



華やかなパーティに
裾と袖をぼかし染めしたきものに大胆な束ね熨斗文様をあしらった訪問着。熨斗を曲線で流れるように描き、熨斗の中の文様は繍(ぬ)いで表現してあります。瑞雲文の格調の高い帯を合わせた風格のある装い。



熨斗は、もとは鮑(あわび)の肉を薄くはいで引き伸ばして乾燥させた「のしあわび」のことです。延寿を象徴するものとして、細長く折りたたんだ熨斗紙の間に包み、結納品や進物、引き出物に添えられました。

この熨斗の形をモチーフにして、細長い帯状のものを文様化したものが、現在主流の熨斗文様といわれるものです。

江戸時代から吉祥文様として染織品の文様に使われるようになり、現存する江戸中期の振袖などには見事なものがあります。現在もきものや帯に幅広く用いられています。

※吉祥文様とは、良い兆(きざ)しやめでたいしるしを意味する文様の総称。中国の影響を受けたものが多いが、日本で生まれたものもある。代表的な文様は、や亀、松竹梅、四君子、宝尽くしなど。

束ね熨斗(たばねのし)




「のしあわび」に見立てた細い帯状のものを数本まとめて中央で束ね、その形を文様化したものです。「束熨斗(つかねのし)」ともいい、文様として使われる場合は、細い帯状の中に、華やかな文様を入れてあしらわれます。



写真は帯の柄ですが、束ねた熨斗の結び目を見せず、流れるような熨斗を印象的に配したもの。帯の中に施された草花文様が華やかです。

【向く季節】
通年


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きものの文様

今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。
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