きものの文様 きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、短期集中連載で毎日お届けします。
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鴛鴦(おしどり)
日本では仲のよい夫婦のことを、おしどり夫婦といいます。それと同じように、鴛鴦は仲睦(むつ)まじいことから、中国では夫婦の変わらぬ愛を象徴する鳥とされてきました。雄(おす)を鴛、雌(めす)を鴦といいます。
日本でも吉祥文様として用いられ、とくに桃山時代から江戸時代の能装束や小袖に多く見られます。
鴛鴦文(えんおうもん)
鴛鴦(おしどり)は水辺の風景などとともに、一般的に番(つがい)で表現されます。かつては雄がくちばしを開け、雌はくちばしを閉じている阿吽(あうん)の姿が主で、夫婦和合の姿ともいわれました。
現代は雌雄とも口を閉じている場合が多くなっています。伝統的な番で表現されるときは、黒留袖や訪問着、それに合わせる礼装用の袋帯などに用いられます。
波間に浮かぶ鴛鴦をにぎやかに表現した袋帯。鴛鴦の表情は一羽ずつ異なります。【向く季節】
通年
きものの文様
今回ご紹介した文様を含め、300以上もの文様を掲載。文様の歴史や意味が豊富な写真によってよくわかり、体系的に勉強することができます。きものを着る場合判断に迷う格と季節が表示され、こんな場所にお出かけできます、とのコーディネート例も紹介しています。見ているだけで楽しく役に立つ1冊。