丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月 第2回(全5回) 豪華な振袖や粋な羽織袴など、お正月にふさわしいきもの姿で微笑むのは2021年の“年男年女”のみなさん。さらなる飛躍の年の幕開けに、コロナ禍で考えたこと、これからのこと、真摯に語ってくださいました。
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鋸(のこぎり)の歯のようにギザギザした「鋸歯(きょし)文」を藍鼠色の絣で表現した御召は、遊び心を感じさせます。リクエストに応えてそっと歌声を聞かせてくださった城田さんは、「角帯を締めると気が引き締まり、テンションも上がります」とにっこり。きもの、帯、羽織/銀座もとじ 男のきもの 末廣/井澤屋城田 優2003年に俳優デビュー。10年にミュージカル『エリザベート』に主演し、数々の賞を受賞。その後、演出の才能も開花。現在はミュージカル界に軸足を置きつつ、アーティストとしても活動。20年12月2日にカバーアルバム『Mariage』を発売。大好きなエンターテインメントを通して
元気や勇気を届けたい
20代はドラマとミュージカルを掛け持ちするハードな毎日だったという城田 優さん。「あの時期があっての今なので、当時の自分を否定する気はないんです。でも、30代になった今は一本一本の作品に集中できることが嬉しくて」。目下、集中している一本は『ナイン』。イタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』から生まれたミュージカルです。「ひと言でいえば『不倫男の話』で、僕が演じる映画監督グイドは16人の女性に翻弄されます。でも、彼は単なる遊び人ではない。ご覧になった人は、最終的にグイドを好きになってしまうと思います」。
アーティストとしては12月2日にカバーアルバム『Mariage』を発表。「コロナ禍で7か月遅れのリリースになりましたが、おかげで、自作の曲の詞を見直したり、GLAYのTERUさんとご縁ができて『カーテンコール』という曲を加えさせていただけたり、アルバムにとってはよかったと思っています。10代の頃から好きな曲ばかりで、僕がもっと世の中に広めたいと思って入れた曲もあります」。
外出自粛期間に家の片づけをした城田さんは、中学生のときに書いた作文を発見したといいます。「『自分の歌や曲を通して病気の人を治したり、失恋した人の悲しみを癒やしたい』と書いてあるのを読んで、やっぱりそこだよな、と改めて思いました。僕は大好きなエンターテインメントを通して、人に元気や勇気を届けたい。ありったけのエネルギーを注いでつくったら、きっと届くと信じています。僕の原動力ですか? 睡眠とおいしいご飯と家族や友達との他愛もない会話ですね。誰かと会った帰り道の僕は、いちばん目がキラキラしていると思いますよ」。一見クールに見える城田さんは、言葉を尽くして、まっすぐに思いを伝える人でした。
〔特集〕丑年生まれの時代の顔“年男年女”がまとうきもの正月(全5回)
撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/mikitaro〈SET〉 着付け/小田桐はるみ きものコーディネート/相澤慶子 取材・文/清水千佳子 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー
『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。