〔今月の引き出し〕
ワントーンStyleで今様にセンスアップ
「福は内、鬼は外」と元気に豆を撒き終えたら、暦の上での春を迎えました。寒さはこれからが本番ですが、装いはもう春を待つ心で華やぎます。今月の“引き出し”は、きものをワントーンでコーディネートするだけで今の空気に溶け込むワンピース感覚の装いになるというお話です。シンプルな方程式の中にも、長襦袢や小物使いで私らしい遊び心やほのかに漂う大人の女性らしさを表現してみました。どうぞご覧ください。
時代を感じる色こそ、ワントーンで
2月になって、真っ先に袖を通したいのが梅の花で青海波(せいがいは)を表現した江戸小紋です。愛らしい文様をシックな縹色(はなだいろ)で引き締めた、母のお気に入りでした。平安期から格式の高い色とされてきた縹色ですが、落ち着いた藍のトーンが、ややもすると時代がかって見えがちです。母はこのきものに、補色である赤系の帯を合わせていますが、私はあえて個性的な色を逆手にとって、同系色の梅の帯を母のタンスから引っ張り出してワントーンでコーディネート。これが意外や意外!モダンな表情に! きものや帯が地味なぶん、はっとするような緋色の長襦袢をさりげなく袖口から薫らせるのも私なりのお洒落のポイントです。
これは名古屋帯ですが、金箔や金糸が施されているため、ちょっと改まったお席にも締めて出かけます。控えめで上品な色使いですから、お茶席にもよさそうですね。