エンターテインメント

黒柳徹子さんと五木寛之さん、28年ぶりの特別対談が実現!「生きる喜び、ふたたび」

2021.12.27

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女優・ユニセフ親善大使 黒柳徹子さん × 作家 五木寛之さん「生きる喜び、ふたたび」(前編) 28年前、家庭画報本誌新年号の対談ページにご登場いただいた黒柳徹子さんと五木寛之さんが、ふたたび「生きる喜び」をテーマに語り合います。それぞれ長寿の番組と連載を続けるお二人の言葉には、コロナ禍が続く世の中でも、新年を明るく迎え、豊かな人生を送るためのヒントが詰まっています。
黒柳徹子さん、五木寛之さん

五木さんはテレビ番組の構成作家として活躍していた若い頃、よくテレビ局で黒柳さんと顔を合わせたという。最近はご無沙汰続きだったため、「戦友のようですね」と久々の再会にうれしそうなお二人。ソファは英国デュレスタの「ハーバード」/IDC OTSUKA。 黒柳さんドレス/Keiji Tagawa オートクチュール

黒柳徹子
東京・乃木坂生まれ。女優・ユニセフ親善大使。東洋音楽学校(現東京音楽大学)声楽科卒業後、NHK放送劇団、文学座を経て、NHK専属のテレビ女優第1号としてデビュー。1976年、日本初のトーク番組としてテレビ朝日系『徹子の部屋』がスタート。著書『窓ぎわのトットちゃん』は世界35以上の言語に翻訳され、大ベストセラーに。


五木寛之
1932年福岡県生まれ。作家。47年に北朝鮮より引き揚げる。早稲田大学ロシア文学科中退。66年『さらばモスクワ愚連隊』でデビュー。67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門』で吉川英治文学賞を受賞。『大河の一滴』など、ベストセラー多数。近著に『私の親鸞』(新潮選書)など、仏教に関心を寄せた作品が多い。

来日したジーン・クルーパの金言


五木 今回、『家庭画報』の新年号で28年ぶりにふたたび対談できることになったので、28年前の記事を読んでみたんですが、まったくタイムラグを感じませんでした。

黒柳 本当にあのまま出してもいいぐらい(笑)。

五木 いい出会いだったんだなと改めて感心しました。僕は何事も長く続けることがいちばん大事だと思っているので、『徹子の部屋』をずっと続けていらっしゃる黒柳さんのことは、本当に尊敬しています。

黒柳 いえいえ、番組は私がつくっているわけではありませんから、運がよかっただけです。

「僕の座右の銘は、“Keep on”。物事をおもしろがって、長く続けることが大事です」(五木さん)


五木寛之さん

五木 日本にジャズがやっと入りかけてきた1950年代に来日した、ジーン・クルーパというドラマーをご存じですか。

黒柳 あ、私も当時、公演を見に行きました。

五木 そうですか。大勢押しかけて大変でしたよね。そのとき、日本人のジャズマンが楽屋に忍び込んで、彼にひと言アドバイスを求めたところ、ほんとにたったひと言、「Keep on(キープ・オン)」といったそうです。とにかくやり続ける、その道を歩いていけと。

黒柳 いい言葉ですね。

五木 いろんな世評があっても、ともかく続ける。僕はそれがとても大事な言葉だと思って、自分の座右の銘にしています。黒柳さんの偉業には遠く及ばないけれど、僕も実は日刊ゲンダイで創刊号から46年間『流されゆく日々』という連載コラムを続けていて、いつも『徹子の部屋』には負けられないと思っているんですよ(笑)。世界の新聞の連載コラムの中で、最も長く続いたものとしてギネスで認定されたのがもう20年前でした。

黒柳 「キープ・オン」ですね!

五木 その連載はストックなしでやっていましてね。今日の夜の12時までに原稿を書いて渡すと、それが載った新聞が明日のお昼までにはキオスクに並ぶ。外国へ行っているときは、電話をかけて口述筆記したものを入稿してもらう。それが不思議なことに、今まで一度も落ちたことがないんですよ。普通はいろいろアクシデントがあるじゃないですか。

黒柳 そうですよ、盲腸になるとかね(笑)。私も『徹子の部屋』を続けて46年目を迎えましたが、ありがたいのは、これまでにゲストでただの一人も、当日いらっしゃれなくなったかたがいないんです。

五木 それは奇跡的だね。僕は全然宗教的な意味ではなく「他力」という言葉をよく使いますが、やはり自力だけでは物事はうまくいかないですから。でも、長くやっていて、飽きたりすることはないんですか。

「番組が長続きしたのは、人に対する興味が尽きないからです」(黒柳さん)


黒柳徹子さん

黒柳 毎回、相手が違うから、それはないです。話がつまらなさそうに思っていたかたが案外おもしろかったり(笑)、こちらが予想もしなかった、とんでもない答えが返ってきたりすることもあります。あとで編集すると思って話すとだらだらしちゃうので、いつもほとんど生放送と同じように撮っているんですよ。毎回、真剣勝負ですから、全然退屈しません。私もこの番組で同一司会者による番組の最多放送記録としてギネスの認定をいただきましたが、まあ90代になっても頭と口が動けばできると思うので(笑)、節目の50周年までは続けたいですね。

五木 『世界・ふしぎ発見』のご出演も35年でしょう。これもすごいことです。

「歴史の勉強をせずに死ねないと思っていたの。番組のおかげで学べるって楽しいですね」(黒柳さん)


黒柳 私、あの番組に出るまではクイズ番組って出たことがなかったんです。だって、クイズ番組に出て「この人、無知だ」とかいわれるの、嫌でしょ(笑)。でも、『世界・ふしぎ発見』は、たとえばジャンヌ・ダルクが一生を通して何をしたかを辿り、歴史を勉強しながら、その中から数問だけ出題するという番組だと聞いて、引き受けたんです。私たちの年代は教科書が一部黒く塗られていたりして、歴史をまともに勉強していないでしょう?

五木 戦後は日本の歴史そのものに対する後ろめたさがあった時代ですからね。

黒柳 だから、私は歴史を勉強しないでは死ねないなと思っていましたが、自分ひとりで勉強するって、なかなかできないんですよ。出演料をいただいて勉強できるなんて、そうそうないことでしょう(笑)。やってみると、いろいろ知識を得ることはとってもおもしろくて、自分でも歴史の本を読んだりするようになりました。でも本を読んでもそこから問題が出るわけではないし、世界中の国の名前もいっぱいあって覚えきれないし、その知らない国から出題されるから、全然追いつかないんですけどね。

五木 知らないことを知ることほど、おもしろいことはこの世の中にないですね。僕自身も50歳を過ぎてから2年半、大学の聴講生として仏教史を学びました。子どもの頃は学校で授業を受けてもありがたみがわからないものだけど、大人になってから勉強することは苦にならないし、すごく楽しかったな。
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