東家の次女・芙美役の蒼井 優さん、長女・麻里役の竹内結子さん、母・曜子役の松原智恵子さん。役を離れても、とても仲のいい3人。少しずつ記憶を失い、徐々に徐々に遠ざかっていく……。その様子から、認知症をアメリカでは“Long Goodbye(長いお別れ)”と表現することがあるそうです。父・昇平(山崎 努)の発症により、自分自身の人生と向き合うことになる家族の7年間を描いた映画『長いお別れ』。同作で母娘を演じた、蒼井 優さん、竹内結子さん、松原智恵子さんに、お話を伺いました。
——まず最初に、それぞれの役柄と演じるときに意識していたことを教えてください。松原智恵子さん(以下、敬称略):お父さんが認知症になってしまったことを娘たちに伝えるために、いろいろ工夫を凝らして呼び出して。娘たちに父親に会ってもらって、状態をわかってもらうっていうところから(物語は)始まりますけれど、いつも自然に(役に)入っていくんですよね。あまり構えないで。2人のことも、自然に娘たちっていうふうに受け入れてました。
竹内結子さん(以下、敬称略):私は姉ですが、妹が頼もしいんですよ。優ちゃんの肝の座りもあり(笑)。家族の中では、お父さんと妹は地に足が着いていて、お母さんと私はふわっとしている似た者同士。そういう雰囲気がありましたね。
蒼井 優さん(以下、敬称略):(自身が演じた芙美は)わりと責任感が強い子ではあるし、まじめさゆえに、あまりかわいらしさがない(笑)。でも、それは社会に出たときのことで。肩に力が入った状態で生きている中で、お姉ちゃんとかお母さんとかお父さんの前だと、だんだんリラックスしていくっていう感じでしたね。それは自分の中のプランでもあったんですけど、(竹内さんや松原さん、山崎さんと)ご一緒することによって、プラン以上に「あ、家族ってこういうことなんだな」ということがわかっていった感じです。