フィギュアスケート愛(eye) 本誌『家庭画報』の「フィギュアスケート」特集を担当する、フリー編集者・ライターの小松庸子さんが独自の視点で取材の舞台裏や選手のトピックスなどを綴ります。
バックナンバーを見る>>> 2017年第1弾の成功を受けて企画された第2弾は、宮本亜門さん演出による氷上音楽劇
現役スケーターとしてのパフォーマンスはもちろんのこと、ダンスショーにキャスター、アイスショーとさまざまな舞台に立ち、その都度、新たな世界を見せてきた髙橋大輔選手。
またしても、禁断の扉を開けてしまいましたね。2019年7月26日(金)〜28日(日)の3日間にわたり、各2公演ずつ横浜アリーナにて行われた氷上音楽劇「氷艶 2019 ―月光かりの如く―」(以下、氷艶2019)。その千秋楽リポをお届けします。
紫式部による、世界最古の長編小説といわれる『源氏物語』をモチーフにした、オリジナル脚本である「氷艶 2019 月光かりの如く」。スケーター陣からは、主演の光源氏に髙橋大輔選手、朱雀君(すざくのきみ)にステファン・ランビエルさん、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)に荒川静香さん、紫の上にユリア・リプニツカヤさん、朧月夜に鈴木明子さん、悪の仲間・陰陽師に織田信成さん、オリジナルのキャラクター、海賊の咲風に村上佳菜子さんほか、豪華な顔ぶれが集まりました。モチーフは『源氏物語』。世界に通用する、奇跡の氷上エンターテインメント!
6公演目となる千秋楽。満席だった横浜アリーナは、期待感と、本当にこの回で終わってしまうんだという切なさとが相まった不思議な高揚感に包まれていました。
歌舞伎とフィギュアスケートが初めてコラボし、今まで誰も作ったことも見たこともなかった氷上エンターテインメントの道を切り開いた「氷艶 2017 破沙羅」。約2年2か月前に、「あらゆる可能性を秘めた革新的、奇跡の氷上エンターテインメントの誕生」を目撃したときの衝撃と感動は、今も忘れられません(
フィギュアスケート愛(eye) 「2017破沙羅」の記事へ)。
そして第2弾となる今回は、宮本亜門さん演出のもと、世界最古の長編小説といわれる『源氏物語』をベースに平安貴族の光と闇を見せるという、さらにスケールアップした舞台が私たちを待っていました(あらすじ、配役などの詳細は「氷艶 2019 ―月光かりの如く―」の公式サイトをご覧ください)。
宮本亜門さんによる演出や松本孝弘さん、川井憲次さんによる音楽、チームラボによるインタラクティブプロジェクション、そして髙橋大輔選手演じる光源氏の異母兄である朱雀君(すざくのきみ)をステファン・ランビエルさん、恋人となる紫の上をユリア・リプニツカヤさん、光源氏にほのかな想いを寄せる男装の海賊の長・松浦に元宝塚歌劇団トップスターの柚希礼音さんがキャスティングされるなど、開演前から注目を集めていましたが、そのすべてのピースがこれ以上はないだろうと思わせる見事なハマりぶり。
2時間を超える公演中、正直どの場面も瞬きしている場合ではなかったのですが、なかでも特に印象深かったシーンを振り返ってみます。