ジャケット、シャツ/ダンヒル パンツ/ COS(コス銀座店)「あれだけ長い時間をかけて1人の人間を演じたこと自体、とても貴重な経験。役や物語を生きるうえで大切な“人間に対する理解”が深まったように感じます。
それにしても、あの時代の人たちはすごい人生を送っていますよね。同じ熱量で今、自分の人生を生きたらどうなるんだろう?と思います。まあ、周りには“あいつ、なんであんなに暑苦しいんだ?”って思われそうですけど(笑)」
そう話すのは、昨年のNHK大河ドラマ『西郷どん』で、幕末から明治という激動の時代を生きた西郷隆盛を演じきった鈴木亮平さん。
俳優としてさらに厚みを増した実力派が『渦が森団地の眠れない子たち』で2年ぶりに舞台に挑む。
藤原竜也さんとのW主演で演じるのは小学生!子どもの目を通して、バトルや恋、ファンタジーやホラーも詰まった団地の世界を描く“団地大河ドラマ”になるという。
「舞台では2作品続けて王の役を演じていたんですが、今回は竜也くんが演じる親友とある事件をきっかけに対立し、団地の王座をかけて争う役です(笑)。前から変わった役をもらうことが多かったとはいえ、まさか小学生をやる日が来るとは。
竜也くんとは実際に同学年で、10年前にも一度、『ANJIN イングリッシュサムライ』で舞台共演しているんですが、当時の僕は共演というのもおこがましいほど小さな存在。今回は、成長した姿もしっかり見せられたらと思っています」
2人のために本作品を書き下ろし演出するのは、切実な現実や出来事を独自の視点で切り取り、巧みな台詞とストーリーで観るものを魅了する作品へと仕立てる蓬莱竜太さん。
昨年発表した『消えていくなら朝』で第6回ハヤカワ悲劇喜劇賞を受賞するなど、注目を集める人気劇作家・演出家だ。
5月には蓬莱さんとの食事会があり、主演の2人は蓬莱さんに、どんな小学生だったか思い出や体験談を聞かれたのだそう。
「僕もいろいろ話したんですが、埼玉の秩父出身で実際に団地住まいだった竜也くんの小学生時代の話が衝撃的すぎて、全部吹っ飛びました(笑)。それ、本当に平成?昭和の話じゃないの?と思うくらいワイルドで、濃いエピソードばっかりなんですよ。
僕も結構やんちゃで、目立ちたがり屋でお調子者の次男坊でしたけど、竜也くんに比べたら、全然普通の子ども時代でしたね」
撮影/渡部孝弘三島由紀夫の戯曲を宮本亜門氏の演出で上演した『ライ王のテラス』(2016年、赤坂ACTシアター)では、鍛え上げた体で“完璧な肉体を持った王”を演じた鈴木さん。「戯曲にそう書かれていたので頑張りました」。