実直な人柄が佇まいにもにじむ。『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』では権力志向の強い冷徹な法医学教授を好演。仲村トオルさんが約2年ぶりに舞台に出演します。2019年10月29日から始まる『終わりのない』。緻密な構成と筆致で、SFやオカルト的世界観の中に人間ドラマを描き出す人気劇作家・演出家、前川知大さんの新作です。不可思議な出来事や日常と隣り合わせにある異界を題材にしてきた前川さんが今回取り組むのは、古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』を原典とするSF作品。前川さんとの信頼関係も厚い仲村さんに、その魅力を伺いました。
――古の神々の世界と未来の宇宙をつなぐ物語になるという『終わりのない』。かなり壮大なスケールの作品になりそうですね。企画を聞いた時は、どう思われたでしょう?
「神々とか宇宙とか、一番大きい風呂敷を広げてしまって、どうするんだろうなと思いましたね(笑)。まあ、タイトルが『終わりのない』ですから、何とでもできそうな気はしますけど(笑)。そもそも、物事にはたいてい終わりがあって、たとえば僕らの仕事で言えば、千秋楽やクランクアップという終わりがあるからこそ、そこを目指して頑張ることも、達成感なり解放感を得ることもできる。終わりのない世界ってどういうものだろう? 何をもって“終わりがない”とするんだろう?……そんなことを考えました」