華奢に見えるが、ひとたび舞台に立つと存在感を発揮。2019年は5本の舞台に出演し、そのうち3作品で主演を務めた。映画『美女と野獣』『アラジン』などの音楽でアカデミー賞を受賞したコンビが、1960年の同名の映画をもとにミュージカル化した『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』。来春、8年ぶりに日本で上演される本作品の主演を、鈴木拡樹さんが三浦宏規さんとWキャストで務めます。カルト的人気を誇るポップなコメディに挑む鈴木さんの心境は?
――日本での初演は1984年。以来、キャストを替えながら何度も再演されてきた『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』。出演が決まったときは、どう思われましたか?
「実は僕、この作品のことを知らなかったんです。それで、まず映画を観ました。原作ではなくて、ミュージカルのヒットを受けて1986年にリメイクされたほうです。リメイク版は結末が2パターンあって、僕が初めに観たのはハッピーな感じで終わる新しい解釈のほう。突き抜けた明るさがある作品だなと感じて、この楽しい感覚をお客さんに届けたいと思いました」
――もう一方の結末のほうも観たのですか?
「はい。びっくりしました。なかなか悲惨というか、ブラックなことになっていて、こういう見せ方もあるんだなあと。今回のミュージカルは、どういう結末になるのか? お客さまには、ぜひ楽しみにしていただきたいです」
――鈴木さんが演じるのは、花店で働く冴えない青年シーモア。彼が町で手に入れた奇妙な植物を職場に持っていくと、花店は急に繁盛し始めます。現時点ではシーモアにどんな印象を持っていますか?
「気弱というか、自分に自信がない青年という印象です。そこには彼の生い立ちも関係していて、そういう点も含めて、すごく純粋な人なんだろうなと感じていて。ただ、手に入れた奇妙な植物に自分が好きな女性オードリーにちなんで“オードリーⅡ”と名づけるなんて、ネーミングセンスはないですよね(笑)」