大泉 洋さんと小池栄子さん。成島 出監督いわく、2人は「まさに喜劇役者」で、主役はこの2人しかないと最初から思っていたそう。なぜかモテるダメ男・田島周二が愛人たちと別れるために企てたのは、担ぎ屋の永井キヌ子とニセの夫婦になることだった!? 終戦から3年後の日本を舞台にした小説『グッド・バイ』。この太宰 治による未完の遺作が、『グットバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』として映画に。田島周二を大泉 洋さん、永井キヌ子を小池栄子さんが演じます。
——2015年に上演された舞台『グッドバイ』でもキヌ子役を演じた小池さん。お相手が変わればお芝居も変わると思いますが、大泉さんが演じる田島周二はいかがでしたか?
小池栄子(以下、敬称略):最高にチャーミングでした。(舞台で仲村)トオルさんが演じた田島のダメなところだとか情けないっていう部分とは違った、大泉さんならではの魅力で。トオルさんは真面目に信念を貫いていて、大泉さんもそうなんだけど、もうちょっとはぐらかされてる感とか、浮遊感があるんですよね。地に足がついていない感がすごく面白かったし、素敵で好きになっちゃいました。男性から見てもかわいいですよね。
大泉 洋(以下、敬称略):松重(豊)さんが演じる(漆山)連行の、どう聞いてもおかしいでしょ、うまくいかないって、っていう作戦を信じてやっちゃうあたりがかわいい。(田島は)真面目なんでしょうね。頼ってんだね。信じてたんだね。連行のことね。僕もわりと頼る人なんで、頼った人に言われたらやっちゃうかもしんないなってところはちょっと感じてましたね。
——小池さんは、田島の新たな魅力を感じました?
小池:舞台では私が田島を振り回しているという構図だったと思うんですけど、映画は見事に田島に私が狂わされてる感じがして。それは、予想していなかったので、面白かったですね。そういうふうなパワーバランスになるとは思っていなかったです、インする前は。大泉さんが本来持ってる人たらしさみたいなのって重要な要素だったと思います。もちろん、役者さんだから演じている部分もあるんだろうけど、醸し出すものがあるじゃないですか。だから、ぴったりっていうか。なんか笑っちゃうし、気づいたら泣けちゃうし。表情豊かなところとか……こうやってインタビューしてても、チラシに落書きしてるわけじゃないですか(笑)。これをやってかわいいなって許される人って、きっとあんまりいないし。そこが大泉さんの魅力だから、そのエキスをちゃんと田島に入れてますよね、(成島 出)監督が。何してるんですか? それ(落書き)は。
大泉:いや、すみません。休憩してました(笑)。なるたけ集中力を温存してるわけですよ(笑)。