主演を務めたサスペンスフルな連続ドラマ『10の秘密』も好評だった。今回の舞台では一転して、コミカルな面が見られそう!?5月から東京など10都市で上演される新作舞台『リムジン』に、向井 理さんが出演します。作・演出は、テレビドラマや映画、コントの脚本も手がける人気劇作家・演出家の倉持 裕さん。さて、どんな物語が紡ぎ出されるのか……? 稽古開始を前にした心境を、向井さんに伺いました。
――物語の舞台は小さな田舎町。『リムジン』は保身のためについた嘘が嘘を呼び、取り返しのつかない事態を招く夫婦を巡る悲喜劇になるそうですね。
「はい、僕の役は今のところ、掴みかけた名誉と待遇を失いたくないばっかりに、嘘をついてしまう男だと聞いています。そこだけ聞くと、ちょっと突拍子もない話だと思われるかもしれませんが、たとえば、寝坊して遅刻した理由を電車のせいにするようなことなら、どこにでもあるだろうし、正直に話して一言謝れば済むようなことも、当事者にとっては一大事で、側から見るとそれが滑稽だったりする。そういう日常にありそうなことをピックアップして、拡大して見せるのが演劇の面白さだと思うし、そこに倉持さんならではの笑いやシニカルな視点が入ってきたらどうなるのか、とても楽しみです」
――妻役の水川あさみさんをはじめ、共演の皆さんもそれぞれ個性があって魅力的です。
「舞台でご一緒するのは初めての方ばかりなので、この機会にいろいろなことが吸収できればと思っています。舞台は、稽古期間が1か月くらいありますからね。映像の仕事ではなかなか経験できない、濃い時間を過ごすことができます。みんなでああだこうだ言いながら、稽古場で一つのものを作り上げていく時間はもちろん、休憩時間やみんなでご飯を食べに行ったときには、それぞれの人とその人自身の言葉で関係性を築いていける。僕にとっては、そこも大きな魅力になっています」