主演を務めた草なぎ 剛さん。演じる役、その人として物語の中で生き、観る人はそれが芝居だと忘れてしまう。稀有な存在で、優れた俳優。直感的に思った、計算して考えてもうまくいかないんじゃないか
トランスジェンダーの凪沙(なぎさ)と親から虐待されてきた少女・一果。孤独な2人が出会い、寄り添うようになり、やがて凪沙に芽生えた感情。「母になりたい」。その思いを体現したのは、草なぎ 剛さん。「全部お任せで。特に自分では何もやっていないんですよね。自然な形で画面に溶け込めたらいいなというか……。あんまりやりすぎちゃうと、くさくなっちゃう気がしたので、極力削ぎ落として。ちゃんとやってもらっているから、大丈夫だという感じでいました」とヘア&メイクなどビジュアルに関して話す草なぎさんですが、演技面でも同様だった様子。
「この役は、あんまり計算して考えてやっても、うまくいかないんじゃないかなって直感的に思っていて。(内田英治)監督はテストをしないでどんどん撮っていくから、変に自分の中でこだわりとか、こうしようとかっていうことができなかったんだけど、それがとてもよかったです。何回もテストをしちゃうと、女性らしくってなんだろうとか考えちゃったりしたのかなと思うし。僕自身に近くていいんだなっていうか、今日の体調でやればいいんだなって。だから、もう内田監督とは最強のコンビですね(笑)」