『騙し絵の牙』の主人公・速水は、親しみやすく人たらし。でも実は……。そんな速水に挑み、新たな顔を本作で見せた大泉 洋さん。発案から7年を経て、ついに映画が公開!
ミステリー小説『罪の声』の著者・塩田武士さんが2017年に著した、出版界を舞台にした社会派ミステリー小説『騙し絵の牙』。2018年本屋大賞にランクインして話題を呼びましたが、実は刊行当初から注目されていた作品でした。なぜなら、主人公の速水は俳優・大泉 洋さんをイメージして書かれたあてがきで、小説発案時から映像化を視野に入れたものだったため。
物語のプロットを作る段階から関わっていた大泉さんは、「面白い企画だなと思いました」としつつ、「映像化されなかったときに、“大泉をイメージして作られたものだけど、映像作品にならなかったね”ってなっちゃうと、不発に終わったように見えるから。そういうふうになっちゃうのは困るなと思いましたね(笑)」。しかし、始動から7年を経て、ついに映画に。
「やっとここまで来たなという感じですよね。公開も延期になっていましたから。最初は2020年6月の予定で、それが9月になって年を越して。出版という世界を、僕も含めて知らない人もたくさんいるだろうから、知的好奇心が刺激されるような作品になるとより面白いですよねっていう話を(プロット作りのときに)したんですけど、映画で描かれているのは今の時代よりもさらに先をいく、ぶっとんだアイディアらしいんですね。だから、(吉田大八)監督は早く公開してくれって。その気持ち、わかりますよね。時間がたって、古い発想になってしまうと怖いから。やっとここまで来ましたよ」