役を作り込むより、航が見た景色、感じた思いを探った
「今回は特殊でした」。映画『望郷』で大東駿介さんが扮した航について、演じる際に意識していたことを聞くと、 まず返ってきたのがこの言葉でした。「今回の作品では、役を作り込んでいくことがあまり意味をなさない気がしていて」という大東さん。 それは、「『望郷』という作品を作るうえでのあるべき形だったなと思います」。
「原作を読んでも台本を読んでも、どうしても故郷がフラッシュバックするんですよね。だから、役と向き合うより先に、 自分の故郷と向き合いました。自分の子供の頃とか、故郷に対する思いとか……。 それから(原作者の)湊かなえさんの故郷で、『望郷』のモデルになっている因島での撮影が決まって。因島に向き合うことが必然的に始まりました」
大東さんは、湊さんが見た景色、航が見たであろう景色、感じた思いを因島で探ったそうで、航を演じるにあたっては島の景色や空気から得るものが大きかったといいます。