「役の心情、自分の感覚として、できる限り嘘をつかないようにすること」を大切に演じているという。声もとても魅力的。2020年の大晦日から2021年1月6日にかけて、イリュージョンと芝居を融合させた新たな舞台『INSPIRE 陰陽師』が上演されます。安倍晴明役で主演を務めるのは、大沢たかおさん。「観に来てくださる方の2021年が少しでも晴れやかになるきっかけになれば」と語る大沢さんに、作品への思いなどを伺いました。
――陰陽道、天文道、暦道などに通じ、呪術や祈祷に長け、式神を操ったといわれる平安時代の凄腕陰陽師・安倍晴明。以前から役柄として興味があったのですか?「その存在やキャラクターには前から興味がありましたし、実は(陰陽師役で)映画やドラマにお声がけいただいたこともありました。ただ、当時の自分にはどうもしっくりこなくて。2年くらい前に舞台のお話をいただいた頃から、やってみたいなと思うようになって、今回のタイミングを迎えました。コロナ禍にある今、お客さまも命がけで観に来てくださるというのに、僕らがただ台詞をしゃべるだけではエネルギーが弱い気がするんです。安倍晴明という人のエネルギーを借りて、さらにそこに今の僕らの思いを吹き込んだら、新しいライブエンターテインメントができるかもしれないなと考えました」
――その晴明のエネルギーを、さまざまな仕掛けを用いて表現する。想像するだけでワクワクします。「イリュージョンの要素を混ぜることで、今だから見せられる安倍晴明のリアリティみたいなものが表現できるんじゃないかと思っていて。そもそも、もしかしたら晴明本人も、人の心をつかむようなパフォーマンスをしていたのかもしれない。要は、人の心を前向きにすればいいわけですからね。そんな晴明の魂みたいなものが、イリュージョンを使って日生劇場に降りてきたらどうなるだろう?と想像しています」