withコロナ時代の健康術 第3回(03) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「骨盤底筋」をテーマに高尾美穂先生にお話を伺いました。
前回の記事はこちら>> “骨盤底筋の鍛え方”関連する筋肉を動かすことが効果的
〔解説してくださるかた〕
イーク表参道 副院長 高尾美穂(たかお・みほ)先生
●前回の記事
“骨盤底筋がゆるむ”とデリケートゾーンの悩みが増える>>意識しづらく鍛えにくい骨盤底筋に間接的にアプローチ
骨盤底筋のトレーニング法として一般的に指導されているのは骨盤底筋や尿道の周りにある括約筋をじかに鍛える「骨盤底筋体操」です。腹圧性の軽い尿漏れならこの体操だけでほぼ改善するといわれるほど高い効果があります。骨盤底筋体操では、大きく息を吐きながら腟と肛門の間の柔らかい部分(会陰)が体の内側に入るように骨盤底筋を締めることがポイントになりますが、体操に取り組んだ女性の中にはこの感覚がよくわからないという人も少なくありません。
「骨盤底筋は自分の意思でコントロールできる随意筋ですが、3層の筋肉で構成されているため、意識して動かすことが難しいのです。会陰を引き上げようとして腹圧をかけると、骨盤底筋にも圧がかかり逆効果になることがよくあります」と高尾先生は指摘します。また、骨盤底筋は遅筋に属するため、鍛えてもそれほど筋肉量が増えず、効果も見えにくいといわれます。
そこで、高尾先生が考案したのが体の奥深くで胴体を支えている筋肉群(横隔膜、腹横筋、多裂筋)、お尻(大臀筋)、太ももの内側(内転筋群)の筋肉をまとめて鍛える方法です(下図参照)。
骨盤底筋と関連する筋肉
1. 背中の筋肉(多裂筋)背筋を伸ばす多裂筋の動きに連動して骨盤底筋も動く
プラス効果:猫背の改善
2. 横隔膜呼吸をするときに動く横隔膜と連動して骨盤底筋も動く
3. お尻の筋肉(大臀筋)肛門括約筋を経由して骨盤底筋と連動する
プラス効果:美尻、代謝アップ
4. おなかの筋肉(腹横筋)おへそを引っ込める腹横筋の動きに連動して骨盤底筋も動く
プラス効果:ウエストのくびれ、下腹ぽっこりの解消
5. 太ももの筋肉(内転筋群)内閉鎖筋を経由して骨盤底筋と連動する
プラス効果:美脚
「これらの筋肉と骨盤底筋は重なり合い、つながって動きます。この特徴を利用し、関連する筋肉を動かすことで骨盤底筋に間接的にアプローチし効果的に鍛えることができるのです」と高尾先生は説明します。
関連する筋肉は、骨盤底筋に比べて鍛えやすいうえに大きな筋肉が多いので全身の引き締めや代謝アップも期待できます。
「筋肉量が増えると熱を産生するようになり、冷えの解消にもつながります。また、姿勢がよくなるだけで若々しく見えます。まさに骨盤底筋のトレーニングを通して全身のアンチエイジングが可能なのです」。
スキマ時間にやってみよう!「ながらエクササイズ」
椅子にやや浅めに腰かけ、太ももの間にプラスチックのゴミ箱などやや硬さのあるものを挟んで5分間キープする。このとき、背中を起こし、おなかに力を入れて、トイレを我慢するときのように腟のあたりをキュッと締める(難しい場合は肛門を締めてもよい)。