自然がくれる癒やしの力 日本の「新緑遺産」第11回(全13回)今、森の中を歩いていると想像してみてください。土の匂い、小枝を踏む音、鳥のさえずり、葉擦れの音、木漏れ日など、五感を通して自然が私たちに語りかけてくれます。新緑が美しくなるこの時期、自然の中で、また自宅で、「森の効用」を取り入れる暮らしを提案します。
前回の記事はこちら>> 森の精油(エッセンシャルオイル)で毎日を心地よく
【和の精油の代表クロモジ】精油以外にも商品が充実。右から、和のアロマウォーター100ml 2420円、エッセンシャルオイル クロモジ5ml 1万120円/ともにyuica(正プラス) 徳島県産クロモジ茶100g 1188円/川本屋茶舗 クロモジのど飴64g 259円/養命酒製造日本の森から作られた“和”のオイルのパワーに注目
教えてくれた人/稲本 正さん(「オークヴィレッジ」会長)
「女優すみれさんが東京・八王子の清水入緑地で森林浴を体験!」にも登場もともと、物理学が専門だった稲本 正さん。“森の達人”と呼ばれるまでに森林に魅了されたその始まりは突然でした。「急に『都会には限界が来る』と感じ、飛騨高山の緑豊かな土地に移り住むことにしました。
その後世界中の森を旅して本を書いているときに、調査で訪れた英国王立植物園ロイヤルキューガーデンの当時の園長サー・ドクター・プランス氏にいわれたのです。『木の生命力の源は“アロマ”です。アロマを勉強せずに、森林を勉強したといわないでください』と。これが森の精油との出会いでした」。
次に稲本さんは、アマゾン森林研究所の研究者ニーロ・ヒグチ氏から、伐採で絶滅が危惧されるほどその香りを愛されるローズウッドという樹木の話を聞き、興味を持ちます。
そして、そのローズウッドに多く含まれ、鎮静効果があるといわれる「リナロール」という成分が日本の「クロモジ」にも多く含まれることも知りました。
「世界の森林大国を凌ぐ豊かな生態系を有し、数多くの樹種が存在する日本の森は亜寒帯や温帯の先進国では“世界一”。そんな日本の森に育つ『クロモジ』も、ローズウッド以上に複雑で深みのある香りを持ち、さまざまな効能があります。また、『クロモジ』以外でも日本の森から採れる精油、つまり和の精油は外国産よりも日本人の体質に合うことがわかっています。
日常にメリハリをつけたい、リラックスしたいときに和の精油をうまく活用し、生活のリズムを整えてください」
朝昼夜、時間帯別で活用したいおすすめの和の精油アイテムは下のフォトギャラリーから。 〔特集〕自然がくれる癒やしの力 日本の「新緑遺産」
撮影/大見謝星斗
『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。