今、会いたい名医に聞く 米倉涼子の「気になる医学」 出演作品の中で見せる“目力”が印象的な米倉涼子さん。しかし、この数年、視力の低下やライトの眩しさがつらいなど、気になる目の症状が出てきたといいます。目の寿命をできる限り延ばすべく、注意する病気などについて、井上眼科病院第11代院長の井上賢治先生にお伺いしました。
※本対談は2021年4月11日に、感染予防対策を徹底して行いました。
140年の歴史を誇る1881年創立の眼科専門病院、井上眼科病院の正面玄関前にて。第11代院長の井上先生が感心して目を丸くするほど、目に関する質問を次から次へと投げかけた米倉さん。〔米倉さん〕ドレス30万6900円 ベルト16万7200円/ともにアレキサンダー・マックイーン 靴はスタイリスト私物 ピアス1万6940円 リング1万3970円/ともにスワロフスキー ジュエリー(スワロフスキー・ジャパン コンシューマーサービス)
井上賢治先生(井上眼科病院院長)
米倉さんから見た井上先生の印象→「井上家代々の伝統を守る覚悟を持ちながら、患者さんに寄り添う診療を体現されている温厚で大らかなかたでした」
井上賢治(いのうえ・けんじ)
1967年10月30日生まれ。東京都出身。A型。千葉大学医学部、東京大学医学部大学院卒業。東京大学医学部附属病院分院眼科などを経て、2008年井上眼科病院グループ理事長に就任。2012年井上眼科病院第11代院長に就任。直系で5代目。●生まれ変われるとしたら/立場上(現在のコロナ禍では特に)海外に行く機会があまりないので、世界を飛び回るビジネスマンになってみたい。医者であれば、研究者として学術的な貢献をしたい。●座右の銘/「則天去私」
40歳以降に増えてくる緑内障と白内障
米倉さん(以下敬称略) 井上先生、はじめまして。目にはとても関心があるので、お伺いしたいことがたくさんあります。よろしくお願いいたします。
井上先生(以下敬称略) よろしくお願いいたします。
米倉 以前はすごく視力がよかったのに、最近見えにくくなってきて。40代以降で急に増えてきたり、本当に気をつけなければいけない目の病気には、どのようなものがあるのでしょうか?
井上 いちばん気をつけたいのは緑内障です。病気による中途失明原因の第1位で、全体の約4分の1なんですね。40歳を過ぎると、5パーセントくらいの頻度、約20人に1人かかるといわれています。
米倉 緑内障と白内障はよく聞きますが、どのような病気なのでしょうか?
井上 緑内障は簡単にいうと、視神経が死んでしまう病気です。視神経は約100万〜120万本あるのですが、何らかの原因で眼圧が高くなると圧迫されて死んでしまう。そうすると視界が欠けたり、狭くなったりするんですね。一度死んでしまった視神経は生き返りません。進行を遅らせるしか手立てがないのです。多くの緑内障はゆっくりと進行するため、気がついたときには失明というケースも多いので、定期的に検査して早めに発見することを何よりも心がけていただきたいです。
米倉 白内障についても教えてください。
井上 主な原因は老化現象なのですが、透明であるはずの水晶体が白く濁ってきてしまうんですね。本来、光が角膜、水晶体を通過して網膜、視神経、脳まで情報が伝達されて見えるわけですが、水晶体が濁っているともやっと白く霞んで見えたり、視力の低下や眩しさを感じるようになります。
米倉 白内障は、年を重ねると必ず出てくるものなのですか?
井上 加齢によって発症するので、70代、80代になればほぼ100パーセントのかたに見られます。でも、手術するほどには悪くならず、一生手術しないで過ごせるかたもいるんですね。最近では、40代にも増えてきているので、若くても左右の見え方が違ったり、気になる症状があったら、早めの検査をおすすめします。白内障が急性緑内障発作の誘因になることもありますから。
米倉 今、こちらで行われている白内障手術はどのようなものですか?
井上 多岐にわたる白内障手術を行っています。なかでも、「プレミアム白内障手術」という治療は、国内未承認ではあるものの、海外で高い実績を上げている多焦点眼内レンズと最先端のレーザーを駆使して行う手術なのですが、安全性と、術後の見え方の質の高さを皆さんに喜んでいただけているようです。医療技術の進歩を実感しています。いつかもし自分や家族が白内障になったら、受けたい手術ですね。