withコロナ時代の健康術 第7回(02) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「マスク熱中症」をテーマに谷口英喜先生にお話を伺いました。
前回の記事はこちら>> 〔解説してくださるかた〕
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長
谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生
●前回の記事
日常的に脱水を予防して“マスク熱中症”から身を守る>>成人の体は毎日2500mlの水分を出し入れしている
熱中症の一因となる「脱水」をよく理解するために、まず体の水の出入りについて押さえておきましょう。
水は生物が生きていくうえで欠かせない物質で、人間の体の大部分は水分で占められています。
体重に占める水分量は子どもでは80パーセントほどですが、加齢とともに変化し、成人になると60パーセントほどになり、65歳以上の高齢者では50パーセントほどまで減ってきます。
体に含まれる水分は「体液」と呼ばれ、血液、リンパ液、消化液、組織間液(細胞と細胞の間を満たしている液など)があり、私たちの生命維持に大切な役割を果たしています。
体液の主成分は水で、そのほかナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質とぶどう糖、たんぱく質、尿酸などの非電解質で構成されています。
これらの体液は体内で循環し、成人の場合、毎日2500mlほどの水分を出し入れしています。その内訳は下図のとおりです。
「体から出ていく水分と体に入ってくる水分のバランスがとれていると私たちの体は健康な状態を保つことができますが、さまざまな原因により気づかないうちに体内から水分が失われており、人間の体は毎日“かくれ脱水”を繰り返しているのです」と谷口先生はいいます。
成人の体重に占める水分量と1日の水分出納バランス
〔代謝水〕体内のエネルギー代謝の過程で生じる水分 〔不感蒸泄〕皮膚・粘膜・呼気から失われている水分 (STOP熱中症 教えて!『かくれ脱水』委員会ホームページを参考に作成)