withコロナ時代の健康術 第7回(03) withコロナの新しい生活様式で生きなければならないこの時代に、50代以降から衰えやすくなる器官や機能を取り上げ、健康を保つための方法を紹介します。今回は「マスク熱中症」をテーマに谷口英喜先生にお話を伺いました。
前回の記事はこちら>> 〔解説してくださるかた〕
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長
谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生
●前回の記事
体の水の出入りを理解して脱水予防に役立てる>>日常生活をきちんと見直して脱水になりにくい体をつくる
熱中症の予防には内的予防と外的予防があり、ベースとなるのは健康な体づくりを含めた内的予防で脱水を予防することです。
「まず体温をコントロールする自律神経の働きを維持できるよう規則正しい食事と十分な睡眠を心がけ、ストレス、アルコールの飲みすぎ、喫煙を避けます」。
また、体内で貯水タンクの役割を担う筋肉量が減らないよう、たんぱく質を積極的にとり、筋トレに取り組むことも欠かせません。
そのうえで、日常的に失われている水分をしっかり補い、出入りのバランスが大きく崩れないようにします。
「体に入る水分の基本は飲料と食事です。成人の場合は喉が渇いたらこまめに水分を補給します。口渇センサーが鈍っている高齢者の場合は時間を決めて1日8回を目安に水分をとります。1回にとる量はコップ1杯(180ml)でかまいません。一度に多量に摂取しても水分が多すぎると体が判断し、尿として出してしまうからです」。
また、甘い飲み物は血糖値を上げておなかが空かなくなり、食事がおろそかになるので要注意。水分補給のための飲料は水またはお茶で。
「利尿作用のあるカフェインが気になるようなら麦茶やほうじ茶が安心ですが、カフェインをとってもトイレが近くならなければ問題ありません」。
唯一、禁忌なのは脱水を引き起こすアルコール。お酒で失われる水分を補うために必ず食事と一緒に楽しみましょう。
食事は3食きちんと食べること。特に軽い脱水を起こしている朝の食事は大切です。
水分摂取量の半分を食事からとっているので朝食を抜くと水分摂取量が減り、熱中症の一因になります。
日常生活における脱水予防対策の基本
●こまめに水分を摂取する脳の視床下部にある口渇センサーは65歳以上になると一般的に鈍くなるので、時間を決めて1日8回(180ml/回)を目安に水分を摂取する。
●自律神経を整える体が疲弊すると自律神経が正常に働かなくなるので、食生活の乱れ、睡眠不足、ストレス、アルコールの飲みすぎ、喫煙などを避けて自律神経を整える。
●筋肉量を維持する筋肉は体内で貯水タンクの役割を果たしている。女性はもともと筋肉量が少なく加齢とともに減ってくるので、食事や運動に気をつけて、筋肉量を維持する。