〔今月の専門家〕ファイナンシャルプランナー 黒田尚子(くろだ・なおこ)さん黒田尚子FPオフィス代表。自らの乳がん体験をもとに、がんをはじめ病気に対する経済的備えの重要性を訴える。老後・介護・消費者問題にも注力。NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事。月々の介護費用は約7.6万円というデータも。「親の資産で賄う」のが原則です。
「認知症になると医療費や介護費のほか、行方不明時の捜索費用や徘徊などに伴う送迎タクシー、見守りサービスなど保険適用外の費用もかかります」と介護費用に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは説明します(下・図1)。
具体的な費用については、認知症の検査費用が1回4000~2万円程度、通院による医療費が月額3万9600円(*)、介護費用は在宅介護が年額約219万円(*)、施設介護が年額約353万円(*)との推計があります(*慶應義塾大学医学部・厚生労働科学研究共同研究グループによる調査)。
また、住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用は約51万円、月々の介護費用は7万5600円でした(ニッセイ基礎研究所調査/下・図2)。
※1住宅改造や介護ベッドの購入など一時的にかかった費用の合計
※2公的介護保険の自己負担分やそのほかの介護サービス費の合計
※3認知症の程度を踏まえた日常生活自立度の程度を示す。自立度の高いⅠから自立度の低いMまで7ランクに分類される「認知機能が低下していく認知症の介護は、ほかの要介護者よりも手がかかります。要介護2までは介護保険から給付される上限額の範囲内で収まることが多いのですが、要介護3・4になると上限額内のサービスでは足りず、全額自己負担になる上乗せサービスなどが必要になり、さらにお金がかかります」。