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足の瘤に夕方の脚のだるさ、痛みなどが重なれば要注意。「下肢静脈瘤」とは?

2022.03.04

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専門医に聞く 今、気をつけたい病気 第3回(01) ふくらはぎや太もも、足首の表面にでき、見た目が気になる下肢静脈瘤。その原因やリスク、診断や治療、予防の方法について、血管の専門医に教えていただきます。
〔解説してくださるかた〕小川智弘(おがわ・ともひろ)先生
小川智弘先生

福島第一病院 院長、心臓血管病センター長、心臓血管外科部長。1991年福島県立医科大学卒、1995年同大学院修了。1999年米国ハワイ州ストラウブ病院血管外科留学。2000年から福島第一病院循環器内科部長として心臓血管病センターで勤務、2018年に院長に就任。現在、日本静脈学会副理事長、下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会委員長を務める。日本心臓血管外科専門医・修練指導医、日本脈管学会専門医。

男女とも年齢が上がるほど有病率が高くなる


夕方、脚がだるくてさすってみたら、ふくらはぎがボコボコしていることに気がついた、就寝中に繰り返しこむらがえりが起こって気になる、そんな経験はありませんか。


これらの症状があれば、下肢静脈瘤の疑いがあります。下肢静脈瘤の治療に長年携わる福島第一病院院長・心臓血管病センター長の小川智弘先生は「血管やリンパ管が関連する病気のなかで、下肢静脈瘤は最も多いとされています」と話します。

「エビデンスは少ないのですが、日本の疫学調査で40代以降では女性のほうが男性よりも2倍以上有病率が高いというデータがあります。ただ、女性は妊娠・出産時に下肢静脈瘤が出やすく、下肢静脈瘤を知っていること、スカートをはくために脚の見た目を気にすることなどから、男性に比べて受診率が高く、そのため有病率が高くなっているともいわれています」と小川先生。

下肢静脈瘤は年齢が上がるほど起こりやすく、肥満、高身長もリスクとなります。「遺伝的な素因も強いので、近親者に患者さんがいれば要注意です」。

下肢静脈瘤の治療が得意なのは主に血管、心臓・循環器の専門医


下肢静脈瘤は、明らかに凹凸が目立つ場合もあれば、それほど気にならないケースもあります。

「下肢に静脈瘤ができても命にかかわることはありません。だるさやほてり、むくみが強い、痛みが取れない、こむらがえりが治らないなどの症状を伴う場合には、受診してください」。

凹凸が出ている部分に皮膚炎が起こることがあり、潰瘍や色素沈着が出ている場合には早めの受診が必要です。

症状から皮膚科や整形外科を受診する人もいると考えられますが、下肢静脈瘤の治療に習熟しているのは、主に血管外科、心臓・循環器科の医師です。

「軽症では様子をみるだけで積極的に治療しないこともあります。治療を開始するかどうかも含めて相談してほしいですね」と小川先生。

なお、陰部や腹部に下肢静脈瘤ができる人もいます。「性交痛や陰部の違和感で婦人科を通して血管外科で診断がつくケースもあります」。

下肢静脈瘤の主な症状と危険因子


●脚の皮膚に瘤のような膨らみがある

●その膨らみの部分がかゆい、湿疹ができている

●膨らみの周辺の皮膚が黒っぽくなっている

●夕方になると脚がだるい、痛い

●夕方になると脚にむくみやほてりが出てくる

●就寝中にこむらがえりが起こる

●立ち仕事や座りっぱなしの仕事をしている

●妊娠・出産のときに下肢静脈瘤ができたことがある

●肥満あるいは肥満気味である

後編:「下肢静脈瘤」が潰瘍や色素沈着の原因にも。具体的な原因・対処法を解説!
取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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