専門医に聞く 今、気をつけたい病気 第4回(02) 30〜50代で発症し、関節の痛みや腫れ、全身の炎症が起こる関節リウマチ。早期発見・早期治療が鍵になります。その症状や診断、治療について、京都府立医科大学の川人 豊先生に解説していただきます。
前回の記事はこちら>> 〔解説してくださるかた〕京都府立医科大学 膠原病・リウマチ・アレルギー科 病院教授
川人 豊(かわひと・ゆたか)先生
●前回の記事
女性の発症率は男性の3倍。「関節リウマチ」とは?こんな症状があれば早期に受診を>>関節の炎症は、内臓や血管、皮膚などにも悪影響を及ぼす
関節リウマチの初期には、関節の中で骨の動きをスムーズにする滑膜(かつまく)に炎症が起こっています(下図参照)。その炎症が広がると関節内のいろいろな部位に影響を与えます。
関節リウマチの進行
関節リウマチでは滑膜に炎症が起こり、靱帯の緩み、軟骨や骨の破壊などが進んで、さらに悪化すると関節が骨化してしまう。進行のスピードは患者によってまちまちで、一部の患者では急に進行することがある。そのため定期的に診察を受けることが重要になる。
炎症による腫れや痛みが出るほか、骨同士が当たらないようにクッションの役割を果たす軟骨が徐々に消失し、やがて軟骨がなくなって骨同士がくっつき、関節を動かせなくなります。
また、関節の周囲の靱帯や腱、腱鞘などにも炎症が起こり、靱帯や腱が断裂しやすくなります。
肘、膝の前側、アキレス腱などに小さなしこりができることもあります。このしこりは押さえても痛みはありません。
炎症によって微熱や倦怠感が出ることもよくあり、貧血も起こりやすくなります。さらに、目、肺、腎臓、胃腸、血管などにも多様な症状が出ます。なかでも線維状の異常なたんぱく質が臓器に沈着するアミロイドーシスは深刻な状態です。
このような合併症を避けるためにも早く治療を始めることが重要です。