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50代からは特に注意!「帯状疱疹」とはどんな病気? 多くの人に発症リスクがある理由

2022.05.09

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専門医に聞く 今、気をつけたい病気 第5回(01) 赤い発疹の上に水疱ができ、強く痛む帯状疱疹。部位によっては合併症が起こり、強い痛みが長引く例もあることから、抗ウイルス薬を早期に服用することが重要です。
〔解説してくださるかた〕浅田秀夫(あさだ・ひでお)先生
浅田秀夫先生

奈良県立医科大学 皮膚科学教室 教授。1984年に奈良県立医科大学を卒業後、大阪大学医学部皮膚科に入局。1989年、同大学大学院修了。大阪府箕面市立病院皮膚科、大阪大学医学部皮膚科助手を経て、1994年米国国立衛生研究所に留学。2000年に帰国後、大阪大学医学部皮膚科講師、2002年奈良県立医科大学助教授。2007年から現職。日本皮膚科学会専門医。

水痘にかかった人は誰にでも発症リスクがある


帯状疱疹が出て痛くて困ったという経験のある人、またそういった経験談を聞いたことのある人は少なくないのではないでしょうか。帯状疱疹は多くの人が経験する、ある意味ありふれた病気です。


体の片側の皮膚にピリピリした痛みを感じた数日後に赤い発疹が出て、その上に水疱ができ、痛みが強くなるのが典型的な症状です。帯状に症状が出ることが多いため、この名前があります。

帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で起こります。日本人の9割はこのウイルスを持っているとされます。つまり、水痘にかかったことがある人は全員に帯状疱疹を発症するリスクがあるということになります。

近年、患者が増えており、特に50代から要注意


帯状疱疹の発症率は女性のほうが高く、男性の約1.4倍です。帯状疱疹の診断や治療に詳しい奈良県立医科大学皮膚科学教室教授の浅田秀夫先生は「帯状疱疹は加齢に伴い増加する傾向があります。発症率は50代から急激に高くなり、70代でピークを迎えます」と話します。

近年、高齢者人口の増加に伴い、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫が低下している人の数も増えていることから、帯状疱疹の患者数が増えています。

この患者数の増加には、2014年から1〜2歳児を対象に水痘ワクチンの定期接種が始まり、子どもたちの間で水痘が流行しなくなったことも関係していると考えられています。

「子どもが水痘にかかると周囲の大人も知らないうちに不顕性感染(症状が出ない感染)を起こし、それによって水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫が強化されていた可能性があるのです。この自然な免疫強化の機会がなくなったため、今後も帯状疱疹を発症する人は増えると予想されています」と浅田先生。

帯状疱疹を発症するのは、多くの場合、一生に1回と考えられていますが、中には何度か経験する人もいます。「一度発症するとおおよそ10年間は免疫が続くと考えられています」と浅田先生。

帯状疱疹の発症は一年中みられますが、特に夏に増える傾向があります。

帯状疱疹の主な症状


●胸から背中、おなか、頭、顔などの皮膚の片側にピリピリ、ズキズキ、チクチクとした痛みを感じる

●痛みを感じた数日後に赤い発疹があらわれ、上に水疱が出てくる

●皮膚の片側の発疹や水疱とともに痛みも続く

●水疱がつぶれ、3〜4週間ほどで皮膚症状が治る

後編:痛みやまひが残るケースも。「帯状疱疹」を重症化させないために知っておきたいこと>>
取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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