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認知症の薬は飲んだほうがいい? 症状の進行を遅らせる薬物療法について専門家からのアドバイス

2022.05.13

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長谷川父子が語る認知症との向き合い方・寄り添い方 第5回 最も患者の多いアルツハイマー型認知症を根本的に治せる薬剤は開発されておらず、現段階では認知症の進行を遅らせる治療薬しかありません。本人が薬を飲みたがらず薬物療法を受けたほうがいいのか迷っている家族もいます。アルツハイマー型認知症の治療や薬についてどのように考えればよいのでしょうか。前回の記事はこちら>>

認知症の薬は飲んだほうがいい?


長谷川 洋さん

長谷川 洋(はせがわ・ひろし)さん
長谷川診療所院長。1970年東京都生まれ。聖マリアンナ医科大学東横病院精神科主任医長を経て、2006年に長谷川診療所を開院。地域に生きる精神科医として小児から高齢者まで、さまざまな精神疾患の治療とケアに従事。聖マリアンナ医科大学非常勤講師、川崎市精神科医会理事、神奈川県精神神経科診療所協会副会長などを務める。長谷川和夫さんの長男。




写真提供/長谷川 洋さん

長谷川 和夫(はせがわ・かずお)さん
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長。1929年愛知県生まれ。74年、認知症診断の指標となる「長谷川式認知症スケール」を開発。「パーソン・センタード・ケア」の普及に力を注ぎ、認知症ケアの第一人者としても知られる。「痴呆」から「認知症」への名称変更の際も尽力。2017年に自らの認知症を公表し、社会的反響を呼ぶ。2021年11月13日逝去。享年92。

アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬剤は4剤


最も発症頻度の高いアルツハイマー型認知症を根治させる治療法は開発されておらず、できるだけ症状を軽くして認知症の進行を遅らせることが治療の目標となります。治療法には薬物療法と非薬物療法があり、これらを組み合わせて行われます。

アルツハイマー型認知症の中核症状に対する治療薬としてドネペジル塩酸塩が国内で認可されたのは1999年のことです。2011年には3剤が追加され、治療薬は4剤に増えました(下表)。また、ドネペジル塩酸塩は14年にレビー小体型認知症の治療薬としても使えるようになりました。

アルツハイマー型認知症の治療薬の特徴


アルツハイマー型認知症の治療薬の特徴

『認知症疾患診療ガイドライン2017』(日本神経学会 監修)などを参考に作成

これらの治療薬のうち、ドネペジル塩酸塩、ガランタミン、リバスチグミンの3剤はコリンエステラーゼ阻害薬に分類されます。

脳の働きには覚醒作用や賦活作用(活力を与える)を持つアセチルコリンという神経伝達物質が欠かせませんが、アルツハイマー型認知症になるとアセチルコリンを産生する神経細胞が減っていきます。そこでアセチルコリンの分解を抑制するコリンエステラーゼ阻害薬を投与し脳内のアセチルコリンが減らないようにします。

コリンエステラーゼ阻害薬は3剤のうち1剤を選んで使います。一方、NMDA受容体拮抗薬に分類されるメマンチンはコリンエステラーゼ阻害薬との併用が可能です。

脳内には神経細胞を興奮させるグルタミン酸という神経伝達物質があります。神経細胞が興奮し続けると細胞死することがあるため、グルタミン酸の働きを抑制して神経細胞を保護する目的でメマンチンを投与し、認知症の進行を遅らせます。鎮静効果があり、不安感の強い人に有用だと考えられています。
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