漢方の知恵と養生ですこやかに 第7回(01) 7月も半ばになれば、カラッと晴れた青空に気分は高揚しますが、体は暑さに慣れず、おなかを壊したり食欲が落ちたりして調子を崩しがちです。小暑のうちに水分の上手な摂り方を身につけ、今年の夏を乗り切りましょう。
前回の記事はこちら>> 夏のはじめの体調不良は、水分調節で乗り切る
冷たい飲み物の誘惑に注意。胃腸を壊しやすく、食欲不振も
〔解説してくださるかた〕横浜薬科大学客員教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。1969年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行う。(社)日本漢方連盟理事長。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。著書多数。暑さに慣れず疲れやすい時期。胃腸に優しいのは温かい飲み物
7月7日は二十四節気の「小暑」。暦のうえでは本格的な夏の暑さがはじまる日です。梅雨の間、湿気でじっとりと押さえつけられていた自然の「気」が解放されて、ワッと立ち上り、吹いてくるのは熱気を帯びた乾いた風。急な暑さに体が慣れず、内臓も非常に疲れやすい時期でもあります。
そんな7月のスタミナ食として思い浮かぶのは土用の丑の日の鰻。土用とは立春、立夏、立秋、立冬の直前約18日ずつをさし、期間中で十二支の丑にあたる日を「土用の丑の日」と呼びます。
『万葉集』に、大伴家持が友人の石麻呂(いわまろ)に向けて「夏やせによいという鰻を食べなさい」と伝える歌が残っており、夏バテ対策に栄養価の高い鰻を食べる習慣は奈良時代から存在したことがわかります。
しかし胃腸の弱い人は鰻の食べすぎに注意。もし一緒に冷たい飲み物を摂ったりすればおなかを壊すのは必至。「中華料理に温かいウーロン茶」のように油っこい料理には温かい飲み物を組み合わせるのが食養生の基本です。