天野惠子先生のすこやか女性外来 第2回(04) 日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する、全国・女性外来を紹介します。
前回の記事はこちら>> 【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
春日クリニック 院長 清田眞由美先生
●前回の記事
更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!骨や脂質のケアにも力を入れながら、
将来を見据え、更年期をトータルに支える
清田眞由美先生(きよた・まゆみ)1984年熊本大学医学部卒業。専門は消化器疾患、一般内科、更年期症状。1992年春日クリニック副院長、1997年同院長。1999年更年期の勉強会「おりひめの会」発足、2003年院内に熊本県初の女性外来を設置。日本女性医学学会専門医代議員、日本性差医学・医療学会評議員、日本東洋医学会専門医ほか。医療と向き合う視点は“30年後の元気のために”
寝たきりの高齢女性と、自らの不調を抱えながら介護する50代女性──。内科医になりたての頃、女性たちが直面する現実を目の当たりにした清田眞由美先生は、「30年後の元気のために更年期の女性を支えたい」と強く思ったといいます。
信念は揺るがず、1999年に更年期世代向けの勉強会「おりひめの会」を、2003年には熊本県初の女性外来を立ち上げました。
「おりひめの会」ではテーマに応じて理学療法士による運動指導や管理栄養士が作る食事の試食なども行う。メンタルも含めた更年期症状の治療、高脂血症や高血圧などこれから増えてくる心配事の診療を行う中で、特に力を入れているのが骨のケア。骨密度を測り、食事・運動の指導を基本に軽症のうちに治療を始めます。
骨粗しょう症対策に重点を置く。高性能の骨密度測定装置(DXA法)で骨密度を正確に調べ最適な治療に結びつける。「骨折してからでは遅いのです。“家系的に骨がもろい、消化器が弱い、卵巣を摘出した、糖尿病、慢性腎臓病”などは骨粗しょう症のハイリスク要因です。該当するかたは早めの対策を心がけましょう」(清田先生)
“トンネル”の出口まで、そしてその先までも
年5回シリーズで開催する「おりひめの会」は、患者さんを中心に毎回約30名が参加する勉強と情報提供の会であり、女性同士の交流の場でもあります。
開業して30年。地元とのつながりも深い。患者さん手作りの編みぐるみを置き待合室のソーシャルディスタンスを確保。更年期障害と介護の大変さを経て、「こんなに元気になった自分を、10年前は全く想像できなかった」と生き生きと語る60代女性の姿に希望を見出し、涙を流される患者さんも。
「あなたの今は、あなたの将来に影響する大事な時期なのだということを忘れないでください。私は女性たちを“更年期トンネル”の出口まで無事にお連れし、その先の老年期、エンディングまで見据えてトータルで見守らせていただきたいのです」
取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。