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鎮痛薬の連用が招く薬剤性頭痛にも注意を。知っておきたい最新の頭痛治療法

2022.07.29

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専門医に聞く 今、気をつけたい病気 第6回(02) 2021年、8年ぶりに頭痛の診療ガイドラインが改訂されました。作成委員会の委員長を務めた、よみうりランド慶友病院院長の荒木信夫先生に、片頭痛や緊張型頭痛といった慢性的な頭痛の最新の治療法を聞きました。前回の記事はこちら>>
〔解説してくださるかた〕
よみうりランド慶友病院 院長
埼玉医科大学 名誉教授
荒木信夫(あらき・のぶお)先生

●前回の記事

つらい慢性的な「頭痛」。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、それぞれの症状は?

片頭痛や群発頭痛は薬の使い方が鍵。専門医と相談して予防や早期治療を


治療は、脳の血管を収縮させ、三叉神経の周囲の炎症を抑えるトリプタンの服用が主になります。飲み薬以外に口腔内で溶ける薬や点鼻薬、皮下注射もあります。

高血圧や肝臓病、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞の患者はトリプタンを使えないため、非ステロイド性消炎鎮痛薬を服用します。

軽いうちは市販の消炎鎮痛薬でもかまいませんが、薬剤の連用がさらに頭痛を引き起こすことがあるので(下のコラム参照)、医師の診察を受けておくと安心です。

いずれの薬も頭を動かしたときに痛みが強くなることがわかった時点で我慢せずに早めに使うのがコツです。



鎮痛薬の連用が招く薬剤性の頭痛にも注意を


「軽い頭痛で鎮痛薬やトリプタンを常用していると、やっかいな頭痛に変わっていきます」と荒木先生。

薬剤性の頭痛では薬を飲むと頭痛が和らぐものの、薬の効果が切れるとまた痛みが出てきます。これらの薬を1か月に10~15日以上服用する状態が3か月を超えている場合、薬の使いすぎによる頭痛が疑われます。

専門医の診断と薬に関する指導を受け、頭痛ダイアリーをつけて頭痛のコントロールをすることが大切です。




片頭痛は薬による予防が可能になってきた


片頭痛が月に2回以上起こる場合には、β遮断薬やカルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などが予防に効く場合があります。

また、2021年、片頭痛の原因物質と考えられるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の働きを抑えるヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤が承認されました。

1〜3か月に1回の注射によって「7〜9割の患者さんで片頭痛の回数が減る、あるいは痛みが軽くなることが明らかになっています」。

片頭痛と診断され、過去3か月以内に月4日以上の片頭痛が起こり、従来薬での効果が不十分といった条件に当てはまると処方されます。

ただ、健康保険の3割負担で1本あたり1万2000円〜1万3000円台と高価な薬です。なお、この注射を受けても、急な痛みにはトリプタンや消炎鎮痛薬で対処します。
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