親と自分のために──知っておきたい認知症介護の話 第8回 認知症に向き合うには事前の備えが大切です。介護する側とされる側、お互いが幸せに過ごすために、さまざまな分野の専門家から具体的なアドバイスを伺います。
前回の記事はこちら>> 〔今月の専門家〕社会福祉士・介護支援専門員 岩澤 純(いわさわ・じゅん)さん特別養護老人ホームの介護職を経て在宅介護支援センターのソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)に。25年以上にわたり、さまざまな在宅介護サービスや介護施設の運営に携わる。元公益社団法人長野県社会福祉士会理事、社会福祉学修士。介護の専門機関と相談したうえで介護サービスを利用する必要性が出てきたときに申請しましょう
「介護保険の申請は介護(予防)サービスの利用に伴う手続きなので、早く申請すればよいというわけではありません」と介護支援専門員として活動してきた岩澤 純さんはいいます。
前回の記事で紹介した地域包括支援センターなどの専門機関と相談したうえで必要性が出てきたときに申請します。申請の手続きは本人または家族が市区町村の介護保険課などの窓口で行いますが、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に代行してもらうことも可能で、その費用は無料です。
申請後は要介護(要支援)度を判定するため、市区町村の職員による訪問調査が行われます。
「介護のつらさを訴える家族をときどき見かけますが、訪問調査は困り事を調べる場ではありません。“介護の手間がどのくらいかかっているのか”ということを確認するのが主な目的です。したがって家族もできるだけ同席して介護の手間を客観的に伝えることが肝心です」と岩澤さんはアドバイスします。
たとえば勝手に出ていってしまう、火の不始末が多いなど見守りが必要な状況を具体的に示します。本人の前で調査員に伝えるのが難しい場合は、日程調整の際に申し出れば家族だけとの面談時間を確保してくれるそうです。
介護保険の申請からサービスを利用するまでの流れ
厚生労働省HP「介護保険の解説」などを参考に作成