骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”
骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる
天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。女性は特に気をつけたい、最も性差の大きな疾患
「骨密度低下は女性の宿命。だからこそ早めに気づき、骨を減らさない生活を心がけましょう」── 天野惠子先生
更年期以降、最も性差が大きく、女性が気をつけるべき疾患の代表が骨粗しょう症です。
骨は、破骨細胞が古い骨を分解して壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しく補充する(骨形成)という新陳代謝を繰り返してつくられています。閉経前の骨量は、骨吸収の速度をコントロールする女性ホルモン・エストロゲンの働きで維持されますが、その分泌がなくなると骨吸収が骨形成を上回り、骨の密度が低下して骨量が減るのです。
骨量減少は女性の宿命であることをしっかり受け止めましょう。骨量が減り続けると骨折しやすくなり“いつまでも元気に動ける体”に黄色信号が点滅します。
骨量をできるだけ維持することは更年期女性の重要なミッションなのです。
検査を受ける、状態を知る。そこからスタートする“予防”
骨粗しょう症の要因にも性差があります。男性は加齢による「原発性」と病気や薬など加齢以外の原因で起こる「続発性」の割合が半々ですが、女性は大半が原発性。加齢は避けられませんが、骨の老化は生活習慣で緩やかにすることができるのです。
やせていたり、母親が骨粗しょう症だったり、閉経の早かった人はなお一層の注意が必要です。まずは骨密度検査を受けましょう。
自分の骨の状態を知り、変化の兆しに気づくことから、骨粗しょう症予防、介護予防はスタートします。
次回は、骨粗しょう症のリスクについて詳しくご紹介していきます。
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
http://www.nahw.or.jp/hospital-info*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。
公式サイト「女性外来オンライン」:
https://joseigairai.online/YouTube
「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>> 撮影/鍋島徳恭 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。