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骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?

2022.10.05

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第5回(03) 閉経後に訪れる数々の試練の中で、女性が男性の何倍も注意を要するのが骨量の減少。“骨折しないこと”は女性が将来、要介護を免れるための大事な条件です。「危機感をもって骨粗しょう症対策を」と天野先生がすべての女性に呼びかけます。前回の記事はこちら>>

骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”
骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる


●前回の記事
“女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 減少に早く気づくために正確な骨密度検査を受けましょう

天野惠子(あまの・けいこ)先生

天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

骨は自分でつくるもの。重要なのは食事と運動


【食事】骨を育てる食事の基本は3食きちんと、バランスよく


骨粗しょう症は“生活習慣病”。つまり自分で予防することのできる疾患です。

骨をつくる材料になる栄養素はカルシウムですが、骨量を維持するにはそれだけでは不十分。

カルシウムを腸から吸収されやすくするビタミンD、カルシウムを骨につきやすくするビタミンK、そして骨の質を高め、骨を支える筋肉のもととなるたんぱく質も欠かせません。

しかし基本は、「3食きちんと、バランスよく」。もちろん肥満予防のために食べすぎにはくれぐれも注意を。

●骨量維持のために重要な栄養素


カルシウム
骨をつくる材料になる
(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品)

ビタミンD
腸からのカルシウム吸収を助ける
(魚、きのこ)

ビタミンK
骨へのカルシウム沈着をうながす
(納豆、緑黄色野菜、卵)

たんぱく質
骨の質を高めるコラーゲンの材料となる
(肉、魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品)

●摂りすぎに注意したい食品


リン(食品添加物など)、カフェイン、アルコール
→カルシウムの吸収を妨げる

食塩
→カルシウムの尿への排せつをうながす



「やせ」の人は骨量も少ない傾向に。適正体重の維持を


体重の重い人は歩くだけで骨にかかる負荷が大きいので、骨量は多い傾向にあります。一般にやせていることは骨粗しょう症のリスクとなります。一方、肥満は変形性膝関節症などの要因になるので適正体重の維持が大事です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では50〜69歳の目標とするBMIの範囲を20.0〜24.9と定めています。




運動

荷物を背負って歩けば骨への負荷がより高まり、戸外で日光を浴びれば皮膚でビタミンDがつくられる。

【運動】日光を浴びて、負荷のかかる運動を日課に。
筋肉も同時に増やそう


骨に衝撃を与えると骨芽細胞が活性化します。

骨密度を上げるにはかかと落としやジャンプなど骨に負荷をかける運動が適しています。

また日光を浴びると皮膚でビタミンDが生成されるので、戸外での運動はさらに効果的。運動によって筋力も鍛えられ、バランス力の強化や転倒防止効果も期待できます。

自分に合った無理のない運動を長く続けましょう。

●運動によって骨密度が上がった例


歩行太極拳など軽い荷重運動で腰椎骨密度が上昇ジョギング、ダンス、ジャンプなど強い荷重運動で大腿骨近位部骨密度が上昇。両者を組み合わせた運動で両方の部位の骨密度が上昇した。

・骨粗鬆症患者(平均年齢65歳)が1日8000歩のウォーキングを週3日以上、1年続けたところ、腰椎骨密度が1.71パーセント上昇した。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」より




*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」(10/12公開予定)
イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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