親と自分のために──知っておきたい認知症介護の話 第10回 認知症に向き合うには事前の備えが大切です。介護する側とされる側、お互いが幸せに過ごすために、さまざまな分野の専門家から具体的なアドバイスを伺います。
前回の記事はこちら>> 〔今月の専門家〕社会福祉士・介護支援専門員 岩澤 純(いわさわ・じゅん)さん特別養護老人ホームの介護職を経て在宅介護支援センターのソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)に。25年以上にわたり、さまざまな在宅介護サービスや介護施設の運営に携わる。元公益社団法人長野県社会福祉士会理事、社会福祉学修士。家庭的な環境で共同生活を送る「グループホーム」は多くの人が利用しているサービスです
介護保険サービスには、前回紹介した居宅サービスや地域密着型サービスのほかに施設サービスがあります。
これは施設に入所して介護や医療を受けられるサービスで、①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、②介護老人保健施設、③介護医療院(旧介護療養型医療施設)の3種類になります。
このうち生活施設として位置づけられているのは①で、②はリハビリなどを提供し、在宅復帰を目指す施設、③は長期療養を必要とする要介護者に医学的管理のもと介護や医療を提供する施設として設置されています。
「認知症の人を含め、要介護の高齢者が施設入所を検討するようになるのは自立した生活が難しくなったときです。しかし、特別養護老人ホームは要介護3以上でなければ利用できません。つまり、認知症だけでなく身体的な問題も抱えていて介護をより必要とする人が優先されます」と岩澤 純さんは説明します。
認知症の人が利用できる主な施設系サービスの特徴
長寿科学振興財団HP「健康長寿ネット/高齢者を支える制度とサービス」を参考に作成一方、認知症は身体的な問題がないほうが介護に手間がかかるといわれています。例えば見当識障害による徘徊があると常時見守りが必要になり、一人暮らしをしたり、家族が自宅で世話をしたりすることが難しくなります。
このような場合に入所できる施設として多くの人が利用しているのが「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」です。介護保険サービスの一つで、小規模施設に入所し専門的なケアを受けるサービスですが、施設サービスではなく地域密着型サービスに分類されます。