天野惠子先生のすこやか女性外来 第6回(04) 「私の血圧は低めだから大丈夫」と安心していられるのは閉経前まで。エストロゲンの庇護がなくなる更年期以降、女性の血圧は上昇しはじめます。覚えておきたいのは、加齢による血圧の上がり方が女性と男性では異なること。天野先生が性差医療をベースに、“女性のための”血圧の話をお届けします。
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山梨県立中央病院 女性専門科 部長 縄田昌子先生
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血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも17年間、のべ10万人近くを診てきた実績を生かして
女性の抱えるあらゆる不調を改善に導く
縄田昌子先生(なわた・しょうこ)1998年山形大学医学部卒業。藤沢市民病院、山形大学医学部附属病院を経て、2005年、山梨県立中央病院に女性専門外来(2015年より女性専門科と改称)立ち上げと同時に入局。2017年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本性差医学・医療学会所属。傾聴と共感を基本に解決方法を一緒に探る
女性医療ひとすじの縄田昌子先生が専任で率いる女性専門科。診療枠は週14コマと多く、検査で異常が出ない、症状が多岐にわたるなど女性特有の「持っていき場のない不調」も解決に導いています。院内の総合診療科と連携し、病気を見逃さない体制が整っているのも安心です。
女性医療関係の資料を閲覧できる中待合室。プライバシーに配慮した個室の診察室。女性外来の基本方針は傾聴と共感。体調が悪くなってからの経緯に耳を傾けることで、患者さんは「受け止めてもらえた」と安心し、医師は話を整理し問題点を探ることができます。
症状緩和に漢方薬は必須。受診者の65パーセント以上が漢方薬のみの処方だ。「食事・睡眠・入浴の基本的な生活が乱れがちのかたが多いですね。家族に合わせざるを得ない事情があるにしても、しなくていいことをやらなければと思い込んでおられる場合もあります。漢方薬で症状を和らげつつ、お一人お一人の事情や心情に合わせて無理のない修正方法を一緒に探していきます」
看護師もかかわる体制。安心感が症状を軽く
重要なのが看護師の存在です。予約電話の受付も女性専門科担当の看護師が対応し、診察前には話を聞いてアドバイスを行い医師につなぎます。なかには予約の電話で話をしただけで眠れるようになったという患者さんも。
医師と看護師がダブルでかかわる体制が安心と満足につながり、初診で症状が軽くなるケースがほとんどだといいます。
予診室で看護師が話を聞きアドバイスを行う。患者の安心感、満足感は大きい。更年期には高血圧も気になりはじめる。診察時に測り、高めの場合は血圧手帳で日々の血圧管理をしてもらう。更年期は動脈硬化性疾患も増えてくる頃。血圧・脂質・血糖値を調べて予防的アドバイスを行い、しがらみの多い多忙な時期を乗り越えるコツも伝えます。
「親御さんの介護も、やらされているのでなく自らの意志だと考える。自分を主役に置くだけでストレスは軽くなります」
撮影/本誌・大見謝星斗 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。