漢方の知恵と養生ですこやかに 第11回(01) シャツ1枚でも十分な暖かい日があるかと思えば、冬用コートの出番もやってくる11月。温度差の影響を受けて、ぎっくり腰や肩こり、首の痛みが生じやすい季節でもあります。予防と改善のために、体を内と外から“じわじわと”温めて汗をかくことを心がけましょう。
前回の記事はこちら>> ぎっくり腰、肩こり、首の筋違えが増える季節
立冬を迎えたら要注意。寒暖差がもたらす筋肉の緊張
〔解説してくださるかた〕横浜薬科大学客員教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生1947年生まれ。1969年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行う。(社)日本漢方連盟理事長。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。著書多数。肩の高さが左右で違う人、スカートが回る人は気をつけて
初冬を迎える11月は一年で最も温度差の激しいとき。関東地方でも最低気温が5度を下回ったり最高気温が25度近くなったりと、20度も開くのはこの時期特有の気候です。
温度差は筋肉を収縮させます。このとき、骨格がもともと左右のどちらか一方にゆがんでいると筋肉の縮み具合にも差が生じ、その部位に痛みやこりや筋違えなどの症状が起きやすくなります。
たとえば、いつも片方の肩紐がずり落ちたり、緩めのスカートをはいて歩くと一方向に回ったりするのは肩や骨盤の高さが傾いている証拠。同じ方向に足を組んだり横すわりの癖のある人に多くみられます。このバランスの崩れが筋肉の緊張具合の差に表れ、肩こりやぎっくり腰、腰痛の要因になるのです。
首はゆがんでいませんか? 肩を固定させて首を左右に回せるところまで動かしてみてください。可動域の小さいほうの筋肉がより収縮しやすく、首の筋違えを起こしがちなウイークポイントとなります。
足の裏や指がつったら、ぎっくり腰や腰痛の前触れかもしれません。足からふくらはぎ、腿、腰へとつながる筋肉がバランスを崩しはじめた兆候で、そのゆがみはさらに上の肩、首、頭へと及んでいきます。
腰を痛めやすい人は、お尻が深く沈み込む柔らかいソファに座ることは極力避けましょう。膝が上がり背中が丸くなって腰に大きな負担がかかり腰痛の引き金となります。