天野惠子先生のすこやか女性外来 第7回(04) 日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する、全国・女性外来を紹介します。
前回の記事はこちら>> 【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
ソフィア北円山クリニック 所長 福井里佳先生
●前回の記事
自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介女性医師の働きやすさが患者の安心を生む
丁寧な診療を心がけ、本人の希望を尊重
福井里佳先生(ふくい・りか)1997年札幌医科大学医学部卒業。癌研究会附属病院乳腺外科、札幌里塚病院外科、新札幌恵愛会病院、新札幌豊和会病院、時計台記念病院等を経て、2021年6月ソフィア北円山クリニック開院と同時に所長となる。日本外科学会外科専門医、日本乳癌学会専門医、日本がん治療認定機構認定医など。診療に生かすべく、心理療法(ゲシュタルト療法)を勉強中。納得して決められるよう選択肢を幅広く示す
総合案内から待合室を見る。広々とした空間も魅力だ。2021年6月開業のソフィア北円山(きたまるやま)クリニック。
乳腺外科、婦人科、内科、小児科、眼科を備え、診療にあたるのはすべて女性医師。
同性として症状や生活上の悩みに共感できる強みを生かし、本人の希望を尊重する丁寧な診療を心がけています。
乳がん患者の更年期様症状を漢方薬やエクオールで緩和。婦人科外来でコンチネンスアドバイザーと排尿機能検査士の資格を持つ看護師が骨盤底筋体操を指導する。「たとえば乳がんの治療法は幅広く、日進月歩。ガイドラインどおりに一つの道に導くのではなく、検査や手術の内容、薬で様子を見る方法などの選択肢をリスクも含めて説明します。“納得するまで何回でも聞いてください。直前でも変更できますよ”と伝えながら、患者さんご自身の意向を重視して進めていきます」(福井里佳先生)。
マンモグラフィ装置の前で福井先生(右)と放射線技師のお二人。スタッフが女性なので患者の緊張も和らぐ。検査や治療に苦痛はつきものですが、医師や看護師との関係性で医療へのマイナスイメージを払拭できると福井先生はいいます。
乳がん検診や子宮がん検診も幅広い内容と料金設定で提示し、患者さん自身が納得してコースを選び、継続して受けやすいように工夫しています。
電子カルテを活用してスタッフ全員が患者を把握
一方で福井先生が目指すのは女性医師が継続して働ける職場。「患者さんとの信頼関係を築き、医師が家庭の都合で休んだり担当する診療日が限られたりすることへの理解も得たい」とし、それを補うのが電子カルテ。
医師、看護師、放射線技師、事務員など多職種がそれぞれの視点で情報を書き込み、主治医以外でも患者さんの状況を把握できるシステムを構築しています。
「医師の時間的・精神的余裕が質の高い医療の提供につながり、患者さんの安心感となって回復を後押しする──。そんな流れが生まれています」(福井先生)
Information
ソフィア北円山クリニック
北海道札幌市中央区北4条西18-8-1 プレミアムガーデン北円山3階
- *手術、抗がん剤治療、MRI検査等は同法人で連携先の時計台記念病院を紹介している。
取材・文/浅原須美 写真提供/ソフィア北円山クリニック
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。