天野惠子先生のすこやか女性外来 第8回(03)多くの女性が「コレステロール」「中性脂肪」という言葉に敏感に反応しがちなのは、肥満のイメージが強いからでしょうか──。確かに増えすぎると問題ですが天野先生によれば「どちらも欠かせない栄養素。女性にはそれほど悪さをしない」とのこと。今月も性差をベースに、“女性の脂質異常症”について教えていただきます。
前回の記事はこちら>> コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素
女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫
天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。コレステロールは自力でコントロール
食事でLDL(悪玉)を下げ、運動でHDL(善玉)を上げる
生活習慣の見直しは、高コレステロールだけでなく高血圧や高血糖値を改善し、動脈硬化を予防するための基本です。特にLDLを下げるのは食事、HDLを上げるのは運動が効果的。コレステロールを上げる食品を避ける、意識して運動するなどまずはセルフコントロールを心がけましょう。
【食事】
●LDLコレステロールを下げる食品魚、大豆、大豆製品、植物油(亜麻仁油、オリーブ油、ごま油など)、野菜、海藻、果物など
▲LDLコレステロールを上げる食品牛肉・豚肉の脂身、バター、バターや生クリームの多い洋菓子、チーズ、高脂肪アイスクリーム、卵黄など
【運動】
●HDLコレステロールを上げる運動ストレッチ+有酸素運動+軽い筋力トレーニング
詳しい食事法、運動法を知るには─2点とも天野惠子先生著(PHP研究所)薬を使うかどうかの判断は
頸動脈エコーで動脈硬化の程度を測ってから
50歳を過ぎたら5年に1度は頸動脈エコー検査を受けましょう。天野先生は「50歳を過ぎたら頸動脈エコー検査を」とすすめています。頸動脈に超音波を当てて血管壁の厚さや詰まり具合を調べれば、動脈硬化の程度を見ることができます。定期的に受ければ変化がわかり、コレステロール値や血圧、血糖値を下げる薬をいつから始めるかの明確な目安にもなります。