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今聴くべき、心にしみる「ヴェルディ」の名曲20選

2023.01.17

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生誕210年を迎える永遠のオペラ王「ヴェルディ」の魅力 最終回(全8回) イタリアに生まれ、“オペラの変革者”として音楽界に計り知れない影響を与えた作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。彼の構築的でドラマティックな音楽は、聴衆はもちろん、世界に名だたる指揮者、歌手、演出家をも魅了し続けています。アニバーサリーイヤーを祝し、不世出の奇才の深い魅力に迫ります。前回の記事はこちら>>
人生を謳い上げるようなドラマティックな名曲を数多く生んだヴェルディ。その中から厳選した20曲を『家庭画報』オリジナル・プレイリストにまとめました。 本特集を読みながらお楽しみください。

選・文/加藤浩子(音楽評論家)

ヴェルディ 名曲20選


Spotify、Apple Musicで聴けます!
家庭画報オリジナル選曲「ヴェルディ 名曲20選」>>>


※SpotifyとApple Musicにてお楽しみいただけます。視聴にはサインインもしくはログインが必要となります。




1『ナブッコ』より 合唱
〈行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って〉


『ナブッコ』(1842年初演)は、ヴェルディの3作目のオペラで、初めて大成功を収めた出世作。物語は旧約聖書の「バビロン虜囚」のエピソードに基づく。〈行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って〉は、バビロンに囚われたユダヤ人の望郷の歌で、イタリアでは第2の国歌のように親しまれている。

2『リゴレット』より リゴレットのアリア
〈悪魔め、鬼め〉


『リゴレット』(1851年初演)は、ヴェルディ自身が最も愛した傑作で、16世紀のマントヴァ公国を舞台に、娘を溺愛する醜い宮廷道化師リゴレットの悲劇を描く。この曲は、さらわれた娘を返せと宮廷人たちに迫るリゴレットの劇的なアリア。

3『リゴレット』より マントヴァ公爵のカンツォーネ
〈女心の歌〉


道化師リゴレットの雇い主で女たらしのマントヴァ公爵が、女を口説きながら歌う小唄で、劇中随一のヒットメロディ。悪役なのになぜか憎めないのは、この陽気な歌のせいでもあるのかもしれない……。

4『リゴレット』より 四重唱
〈美しい恋の乙女よ〉


〈女心の歌〉に続く四重唱で、口説く公爵、口説かれる酒場の女マッダレーナ、偽名を名乗った公爵に恋するリゴレットの娘ジルダ、ジルダに公爵の正体を見せて諦めさせようとするリゴレット、四者四様の絶妙なハーモニーが展開する。

5『イル・トロヴァトーレ』より
〈鍛冶屋の合唱(アンヴィル・コーラス)〉


《イル・トロヴァトーレ》(1853年初演)は、15世紀のスペインを舞台に、吟遊詩人(トロヴァトーレ)と宮廷女官の悲恋を描く。これは劇中で重要な役割を演じるロマ民族の人たちが鍛冶屋稼業を歌う快活な合唱。

6『イル・トロヴァトーレ』より ルーナ伯爵のアリア
〈君の微笑み〉


19世紀ロマン派のオペラの定番テーマの一つが、ソプラノとテノールの恋人同士を邪魔する低声(バリトンなど)という三角関係。この歌は恋敵であるルーナ伯爵が恋する女官レオノーラを思って歌うアリアで、真摯な想いが伝わる。

7『椿姫』より 合唱
〈乾杯の歌〉


『椿姫』(1853年初演)は、パリの社交界で生きる娼婦とブルジョワ青年の悲恋を美しくも雄弁な音楽で描いたヴェルディ・オペラ最高の人気作。〈乾杯の歌〉は、二人が出会う夜会の場で演奏される、劇中随一のヒットメロディである。

8『椿姫』より ヴィオレッタのアリア
〈ああ、あれはあの人かしら〉


青年アルフレードから真剣な愛を告白された娼婦ヴィオレッタが、本物の恋の予感と、娼婦のわが身への自嘲の間で揺れる心を歌う。途中でアルフレードの声が舞台裏から聞こえ、ヴィオレッタの心を乱す効果を上げている。

9『椿姫』より ジェルモンのアリア
〈プロヴァンスの海と陸〉


ヴィオレッタとアルフレードの恋は、世間体を気にしたアルフレードの父ジェルモンによって引き裂かれる。この曲は、息子を取り戻そうとするジェルモンが、望郷の念を起こさせようと息子に愛を込めて歌う名アリア。

10『シモン・ボッカネグラ』より 二重唱
〈貧しい家の卑しい女が〉


『シモン・ボッカネグラ』(1857年初演)は、14世紀のジェノヴァ共和国に実在した総督を主人公に、父性愛や政治など多様なテーマをちりばめたオペラ。この曲は、父と娘が25年ぶりの再会を果たす感動的な二重唱である。

11『仮面舞踏会』より 二重唱
〈私はここに〉


『仮面舞踏会』(1859年初演)は、17世紀のアメリカ・ボストンを舞台に、友人の妻と恋に落ちた総督の悲劇を描く。〈私はここに〉は、二人が初めて愛を告白し合う情熱的な曲で、ヴェルディには珍しいストレートな愛の二重唱。

12『仮面舞踏会』より
リッカルドのアリア〈永遠に君を失えば〉


総督リッカルドは、友人レナートの妻で愛し合っているアメーリアを、夫とともに故国に帰そうと決心。別れを決意したリッカルドが切ない想いを歌うアリアで、ヴェルディが書いたテノールのアリアの中でも屈指の名曲。

13『運命の力』より〈序曲〉

『運命の力』(1862年初演)は、18世紀のスペインを舞台に、恋人の父を誤って殺めた主人公が、復讐を誓う恋人の兄と壮絶な戦いを繰り広げる。〈序曲〉はスケールの大きな一曲で、ヴェルディのオペラの序曲の中で最もよく演奏される。

14『運命の力』より レオノーラのアリア
〈神よ平和を与えたまえ〉


恋人に誤って父を殺されてしまった悲劇の女性レオノーラは、恋人とも離れ離れになり、修道院の奥に身を隠す。この曲は、恋人への愛とあの世での安らぎを願うアリアで、劇的な冒頭と、天国的な祈りの対比が美しい。

15『ドン・カルロ』より
〈神よ、あなたの魂に(友情の二重唱)〉


『ドン・カルロ』(1867年初演)は、16世紀のスペイン宮廷を舞台に、道ならぬ恋、友情、政治と宗教などさまざまなテーマを織り込んだ壮大な歴史絵巻。主人公の王子カルロと幼なじみのロドリーゴが友情を誓う勇壮な二重唱。

16『ドン・カルロ』より フィリッポ2世のアリア
〈妻は私を愛したことがない〉


『ドン・カルロ』には歴史上の人物も大勢登場する。フィリッポ2世(=スペイン国王フェリペ2世)はカルロの父で、広大な帝国に君臨しながら妻に愛されないことに悩む。フィリッポが自身の孤独を歌う名アリア。

17『アイーダ』より〈凱旋行進曲〉

『アイーダ』(1871年初演)は、古代エジプトを舞台に、敵国の王女とエジプトの青年将軍との悲恋を描いた壮麗な大作。サッカーの応援歌として有名になったこの曲は、エジプト軍の戦勝祝いのパレードの音楽として書かれた。

18『レクイエム』より〈怒りの日〉

『レクイエム(=死者のためのミサ曲)』(1874年初演)は、19世紀イタリア最大の文学者アレッサンドロ・マンゾーニの一周忌のために書かれた宗教音楽の大作。〈怒りの日〉は「最後の審判」の光景を描いた劇的な音楽である。

19『オテロ』より
〈私を恐れることはない(オテロの死)〉


『オテロ』(1887年初演)は、シェイクスピアの戯曲『オセロー』に基づいた傑作。ムーア人の将軍オテロが策略にかかり、白人の妻デズデモナの不貞を疑い殺害。妻の潔白を知らされたオテロが、彼女を悼み、自ら後を追う感動的なソロ。

20『ファルスタッフ』より
〈この世はすべて冗談〉


『ファルスタッフ』(1893年初演)はヴェルディの最後のオペラで、シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』を下敷きにした、ほぼ唯一の喜劇。同作を締めくくるこの曲には、人生と人間に対するヴェルディの達観した見方が滲み出る。

 
選・文/加藤浩子 編集協力/三宅 暁(編輯舎) 取材協力/日本ヴェルディ協会 市浦純子
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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