新習慣「母の月」に贈る 進化する「カーネーション」で贈り花の新世界 第2回(全5回) 初夏の陽気に、色とりどりの切り花が店先に並び、ひときわ花贈りが楽しい5月。花を贈る風習は、今や「母の日」一日のものでなく、1か月間の楽しみへと広がりを見せています。なかでも「母の日の花」といわれてきたカーネーションが、色も形も麗しく、進化しているのをご存じですか? 見慣れた花とは印象を一新した個性あふれる品種が続々登場して、今や、美しいブーケやアレンジメントに欠かせない存在になりつつあります。カーネーションの最新事情と、人気フローリストによる贈り花の新世界へご案内しましょう。
前回の記事はこちら>> カーネーション通になるための
「最新トレンド6」
カジュアルな花と思われがちなカーネーションですが、新品種が持つ息をのむような美しさには、贈り花の主役として十分な魅力があります。その人気の秘密を6つのトレンドからご紹介します。どんな贈り花にしようか迷ったときにはぜひこのトレンドを参考に、お気に入りをご指名ください。
Trend 1
圧倒的な花色バリエーション
1シャララパープル(ミ)、2シャララ(ミ)、3コスタンチーノ(ミ)、4マンダレイ(ミ)、5クレオス(ミ)、6マカロンスリル(ク)、7トニックゴーレム(ミ)、8モンテズマ(ミ)、9ピンクモンテズマ(ミ)、10オペラ(ミ)、11ムース(イ)、12シャンソン(イ)、13ファンファーレ(イ)、14アメリカ(ミ)、15ドンペドロ(ミ)、16アバルト(イ)、17タイソン(ミ)、18エクセリア(イ)、19カエデ(イ)、20ピーチマンボ(ミ)、21オルゴール(イ)、22クレタ(イ)、23カンナ(イ)、24エルメスオレンジ(ミ)、25リフレッシュ(イ)、26ライオンキング(ミ)、27クリミア(イ)、28ド・ヌーブ(イ)、29カリフォルニア(イ)、30ミモザ(イ)、31リバティ(ミ)、32イエローパレオ(イ)、33パックス(ミ)、34コノハ(イ)、35アレッサンドリア(ミ)、36メリル(ミ)、37プラドミント(ミ)、38アクアグリーン(イ)、39ブロンズスリル(ク)、40コバルトスリル(ク)、41クロマスリル(ク)、42ティント ロイヤルブルー(ク)、43ティント ブルー(ク)、44ティントユカリブルー(ク)、45ムーンダスト ベルベットブルー(サ)、46ムーンダスト プリンセスブルー(サ)、47ティント ラベンダー(ク)、48ムーンダスト ライラックブルー(サ)、49ムーンダスト アクアブルー(サ)、50アスペン(ミ)、51スノードロップ(イ)、52ブリサ(イ)、53シルクロード(イ)、54ムーンライト(イ)画像協力/(イ)=イノチオ・フジプランツ、(ク)=クラシック、(サ)=サントリーフラワーズ、(ミ)=ミヨシ
色を体系化する色相環は黄、黄緑、緑、青緑、緑みの青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤みの橙、黄みの橙という12種の原色が基準。
カーネーションはそのほとんどを網羅している上、原色に白を含んだパステルトーンや黒またはグレーを含んだグレイッシュトーンまであり、驚くべき花色バリエーションです。
大手の種苗メーカーや輸入切り花商社から国内に出回る人気品種を集めました。華麗なカラーサークルをご堪能ください。
Trend 2
ナチュラルな「ニュアンスカラー」が人気
左から、‘オルゴール’、‘レージェマロン’、‘バイパーワイン’。「ニュアンスカラー」とは黒やグレーを少し含んだ色のことで、「くすみ系」とも呼ばれます。ビビッドトーンのような鮮やかさはないもののしゃれた印象があり、贈り花では優しさ、気品、落ち着き、大人っぽさ、アンティーク感など、今までにないイメージを引き出してくれます。
最近はどの花にもニュアンスカラーが登場していますが、カーネーションほど豊富なラインナップの花は見当たりません。特にピンク系のニュアンスカラーの充実ぶりは見事で、それが多くのフローリストがカーネーションを定番としてお店に置く理由の一つです。
Trend 3
絞り、縁取り……。表情豊かな複色系が面白い
左から、‘ノビオ バーガンディ’、‘レディシーン’、‘バビロン’。「バイカラー」とも呼ばれる複色系の花は、西欧の古典園芸の頃から多くの人々を魅了してきました。異なる色が花弁を縁取ったり、絞り模様で入ったり……。自然に生み出されたものでありながら、そのユニークな独特の表情には芸術性さえ感じます。複色系で、かつ1輪で大きなインパクトを与える品種が豊富に揃っているのも、カーネーションの魅力です。
古典園芸では、赤に白や黄色など、大胆でドラマティックな複色系がもてはやされましたが、最近はニュアンスカラーのピンクにクリーム色が入るなど、優しい印象で他の花とも合わせやすいタイプの複色系が人気を集めています。
Trend 4
香川生まれのオリジナル品種「ミナミ」シリーズ
左から、‘ポリミナミ’、‘ぺシモンミナミ’、‘サクラミナミ’。香川県の真鍋農園と香花園が育種した‘ミナミ’シリーズが、今、国内外で注目を集めています。きっかけは2012年に大田市場で「大田花き」が選定する「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2012」で、‘オレンジミナミ’が優秀賞を受賞したこと。
コロンビア産の苗を栽培する過程で現れた変異株を選抜・育種した品種です。花径が8センチほどになる大輪で、抜群の存在感。しゃれた花色のピンク系の充実に加えて、今ではカーネーションには少ないクリームイエローや淡い柿色(ぺシモン)もあります。どの花色もエレガントで、生み出される花色のセンスには脱帽です。
Trend 5
オランダ生まれの国内栽培「シャララ」の豪華さ
左から、‘シャララ’、‘シャララライト’、‘シャララピコ’。見惚れるほど美しいフリンジ咲きはカーネーションとしては新鮮な印象を与え「ジャパンフラワーセレクション2019-2020」では、‘シャララピコ’が「グッドパフォーマンス特別賞」を受賞。来場者の人気投票でも切り花部門で第3位に入るほど、大きな注目を浴びました。
パッと目を引く個性的なフリンジ咲きでありながら、ふんわりした花形、優しい花色はどんな花とも合わせやすいと、フローリストからも高評価を受けています。特に‘シャララピコ’は、頬紅を入れたようなぼかしが愛らしく、一輪一輪が微妙に異なるグラデーションを描くのも魅力的です。
Trend 6
まだ見ぬ青い花や黒い花は染めという技で
左から、‘ティント ブルー’、‘ティント ロイヤルブルー’、‘ティント ユカリブルー’。サントリーが開発した、世界で唯一のブルー系カーネーション‘ムーンダスト’は大注目の人気品種ですが、純粋な「青」ではなく、育種による「青」という品種は、まだ誕生していません。ないからこそ欲しくなる! 見てみたくなる! そんな願いを叶えてくれたのが、染め花です。
日本の染めの技術は非常にクオリティが高く、さまざまな花の「染め」が注目されています。‘ティント’も日本の染めの技によって誕生したシリーズで、鮮やかな青の濃淡や黒の花色は、目に焼き付くほどの美しさ。花好きなかたにこそ、この驚きを届けてみませんか。
〔特集〕進化する「カーネーション」で贈り花の新世界
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『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。