連載 おいしい漢方【6月】 国際中医薬膳管理師であり漢方アドバイザーの久保奈穂実さんが、6月を健やかに過ごす養生の知恵と、疲れを癒すおいしい漢方レシピをお届けします。「養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整え、病気を未然に防ぐという中医学の考え。今日から無理なく、簡単養生&漢方生活を始めませんか? 読むだけで薬膳漢方の知識が身につく『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(世界文化社)から一部を抜粋してお届けします。
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文・久保奈穂実(くぼ・なおみ)6月6日~20日頃は、二十四節気では、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔くのによいとされる「芒種(ぼうしゅ)」の時期。例年、梅雨入りを迎えて、湿度が高くなる頃です。
体に余計な湿気がたまる湿邪(しつじゃ)の影響で、むくみ、だるさ、お腹の不調、皮膚症状の悪化が出始めます。
対策としては、豆類や、はとむぎ、とうもろこしなど、胃腸を元気にして、余分な水分を排出する食べ物を意識してとりましょう。適度に体を動かして汗をかき、体の水はけをよくすることも心がけて。
・雨の日頭痛には豆もやしと塩昆布
雨の日に出やすい頭痛は、体にたまった湿(しつ)の影響かもしれません。体に湿がたまっていると、雨など外からの湿気の影響を受けて頭痛が悪化してしまうのです。こんなタイプの頭痛には、湿を排出するために「豆もやしの塩昆布和え」を食べましょう。
豆もやしにも塩昆布にも、利尿作用と、体の熱を冷ます作用があります。熱がこもるタイプの頭痛や、むくみにも効果的です。
【豆もやしの塩昆布和え】
1 豆もやしを5分ゆで、水で冷やす。
2 ボウルに水気を切った1を入れ、塩昆布、鶏がらスープ、ごま油を加え、混ぜ合わせる。お好みで醤油少々を足しても。
3 味がなじんだら器に盛り、白ごまを散らす。ごま油や白ごまは体を潤す食材なのでほんの少しに。
・今人気の汗をかく健康法が合わない人も
サウナや岩盤浴、ホットヨガなど汗をかく健康法が人気ですが、中医学的には、合う人と合わない人がいるので注意が必要です。
【合う人】
胃腸が強く、脂っこい肉や揚げ物などが好きで、お酒をよく飲む。舌苔(ぜったい)がべったりで、肥満気味。こういう人は体にたまった余分な湿が、汗と共に排出されるので体がスッキリします。
【合わない人】
胃腸が弱く疲れやすい。脂っこいものを食べると胃がもたれる。舌苔はなく舌が赤い。やせ型。こういう人は、汗をかくと潤いと元気がもれ出てしまい、乾燥や疲れが悪化するのでサウナや岩盤浴、ホットヨガなどは向きません。肌のかゆみが悪化することも。
同じ人でも、そのときの生活習慣などで体の状態は変わるので、「今はどうかな?」と、その都度チェックしてみてください。
・脚の重だるさを解消するツボ
体がむくんで、脚が重だるいときにおすすめのツボが「陰陵泉(いんりょうせん)」。脚の湿気を取り除き、重だるさを解消する効果があります。指で押したり、お灸をするのもおすすめ。
【陰陵泉(いんりょうせん)】
内くるぶしからすねの骨の内側のキワをたどって上がっていき、ひざの下あたりの指が止まるところにあるツボ。
できる範囲の養生をして、雨を楽しみましょう。
『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
1760円(世界文化社)
疲れたとき、なんだか辛いとき、漢方の知識があれば自分で自分を癒すことができます。本書では、SNSで大人気の漢方アドバイザー・久保奈穂実先生(なおみん)が、1日1テーマ、365日、あなたの毎日に寄り添う漢方アドバイスをお届けします。身近な食材でカンタンに作れる「養生レシピ」113点、今すぐ実践できる「セルフケア」のアイデア252点、1日ひとつ読むだけで、季節ごとの不調が整っていきます。
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久保奈穂実(くぼ・なおみ)/なおみん国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人(2023年4月現在)。
イラスト/ニシイズミユカ