【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
京都大学医学部附属病院 産科婦人科 ヘルスケア外来 江川美保先生
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天野惠子先生がすすめる、認知症予防のために今からできる5つのことホルモン療法、漢方薬、栄養指導などを駆使。難しい治療も、基本は土台を整えること
江川美保(えがわ・みほ)京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学助教。医学博士。1994年京都大学医学部卒業。2010年ヘルスケア外来を開設し月経異常、月経困難症、月経前症候群、更年期障害などに対応。診療経験を通して未解決課題を見出し、女性健康医学研究室を主宰して健康管理の新たな方法を模索している。女性ヘルスケア専門医・指導医ほか。大学病院の役割として難しい症例にも対応
ディスカッションを重ねて診療にあたる「ヘルスケア外来」の担当医師たち(提供/京都大学医学部附属病院)月経サイクルやライフステージの変化に伴う症状に対応し、将来の健康を見越した予防医学を基本とするヘルスケア外来。他で治療したが改善しない、一般的な治療が合わないなど主に院内外から紹介された症例をていねいに診ています。
外来の主旨を説明した案内板。江川美保先生は、併存する病気や強いメンタル症状のある更年期障害やPMS(月経前症候群)など複雑なケースも担当し、他の診療科と協力して治療に当たることもしばしば。
「症状は、体や心がケアを求めているサインです。対話と身体診察・検査を通して、それぞれ改善への次の一手を模索します」。
診察前に更年期や月経前の症状を記入する問診票。症状をやわらげ、同時に心と体を整える
江川先生が診療で重視するのは、症状を直接やわらげる処方と同時に土台を整えること。それが漢方薬やホルモン療法などの治療の有効性を左右します。不足しがちなたんぱく質や鉄分を意識して摂り栄養を整える。物事のとらえ方を変えて心を整える──。
パンフレット、薬のサンプルなどの入った「説明ツール」。「特に多くの複雑な課題を抱えた患者さんは何からとりかかればよいか途方に暮れるものです。『たんぱく源としてまずは栄養満点のゆで卵を』など、ささやかなことでも少しずつ好循環の変化があらわれるように根気強く応援します」
理解しないと治療は続かない。漢方医学的所見や漢方薬の効能を資料を用いて説明。元気を取り戻し始めた患者さんが「整えるってこういうことなんですね」と話されると、「その調子!」とうれしくなる江川先生。
「更年期は、今までの頑張りをねぎらい、次のステージに踏み出すシフトチェンジの時期。心と体と生活をチェックし、“こうありたい自分”に近づくきっかけにしてほしいですね」。