天野惠子先生のすこやか女性外来 第14回(01)北極圏への旅行中に強い紫外線を浴び、白内障の手術を受けた経験をお持ちの天野先生。「目の健康はとっても大事。眼科検診を忘れずに」との言葉に実感がこもります。目の病気は概して男性より女性に多く、エストロゲンの減少がリスクになることも。眼疾患の中でも患者数が多く、更年期以降の女性が気をつけたい3つの病気を取り上げます。
前回の記事はこちら>> クリアな視界は脳を活性化させる。更年期から気をつけたい目の病気 白内障、緑内障、ドライアイ
天野惠子先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。「目の健康をおろそかにしていませんか?50歳を過ぎたら毎年、眼科検診を受けましょう」─天野惠子先生
エストロゲン減少もリスクに。更年期以降の女性は注意
加齢とともに増える白内障、緑内障、ドライアイなどの目の病気。調査や研究で、男性より女性の患者数が多く、エストロゲンの減少も要因になるとの結果も出ており、閉経後の女性は特に注意が必要です。
視機能の低下がもたらすのは、文字が読みにくいといった日常生活の不便に止まりません。知的活動や社会参加を妨げて脳の働きに影響を及ぼす、転びやすくなって骨折の危険が高まるなど、健康寿命を伸ばすうえでも大きなネックとなるのです。
生活習慣の改善と眼科検診の両輪で目を守る
がんや認知症に比べて目の健康に無頓着な人は多いのではないでしょうか。多少の見えにくさや不快感は「年のせい」と放っておきがちですし、何年も目の検査をしていないという声も聞きます。
しかし眼疾患は一般に自覚症状が表れにくいもの。たとえば視野が欠ける緑内障は、初期のうちは気づかないことが多く、眼科検診で見つかり、進行を抑える治療で失明を免れたケースも少なくありません。目の症状の陰に別の病気が隠れていることもあります。
現代人の生活は目によくない環境要因に溢れています。生活習慣を改善し目に悪影響を与えるリスクを減らす、症状がなくても50歳を過ぎたら年に1度眼科検診を受ける――。クリアな視界を守るために私たちにできるのはこの2つです。
撮影/鍋島徳恭 取材・文/浅原須美
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。