松岡修造の人生百年時代の“健やかに生きる”を応援する「健康画報」 動物たちへの無尽蔵の愛と深い知識、天才的な手術の腕を持つ獣医師、野村潤一郎先生。家庭画報本誌で連載中の「
スーパー獣医の動物エッセイ アニマルQ」そのままのトークは、力強くユニークで、ユーモアたっぷりです。自身も愛犬家の松岡さんは、驚き、笑い、反省し、感じ入り、と大忙し。最後は「素晴らしいお話でした!」といい、称賛と感謝の拍手を送りました。
前回の記事はこちら>> 野村獣医科Vセンターの診療フロアーにて。院長の野村潤一郎先生に負けない目力を持つ猫は、最近拾われて野村家の一員に。獣医師、野村獣医科Vセンター院長 野村潤一郎先生
白いスーツに犬柄のシャツがお似合いの野村先生は、地上7階地下2階の病院で、年中無休で動物たちを診ています。「話芸」といえるほどの話し上手で、松岡さんもすっかり魅入られていました。野村潤一郎先生(のむら・じゅんいちろう)1961年東京都生まれ。1986年北里大学獣医学部獣医学科卒業。1991年東京・中野に野村獣医科医院開業。1997年に最新の医療機器や入院設備を備えた野村獣医科Vセンターを開業。大勢のスタッフとともに、日夜、全国から訪れる動物たちの診療、手術に全身全霊で取り組んでいる。また、世の中に動物愛を広めるべく、執筆活動やテレビ出演なども行い、フェレットブームの火付け役としても知られる。現在飼育している動物は、愛犬ビクターを筆頭に、哺乳類、鳥類、両生類、魚類、昆虫類合わせて100匹以上!動物たちと一緒にいるため猛勉強をして獣医師に
松岡 野村先生はなぜ、獣医師になろうと思われたのですか。
野村 子どもの頃から犬や猫と一緒に暮らしていて、中1のある日、「大人になって会社へ行くようになったら、動物たちはどうなるんだろう? 留守番させるなんていやだ」と思ったんですね。それで、動物たちと一緒にいられる獣医師になろう、と決めました。
松岡 中1で進路を決めたのですね。
野村 はい。それまで僕は動物と遊ぶのに忙しくて、小6になるまで九九もいえなかった。でも、獣医師になるには大学を出て国家試験に合格する必要があると知って、猛勉強を始めたんです。すぐにクラスで1番になり、その後は中学高校とずっと1番でした。
松岡 先生がおっしゃりたいのは「自分はもともと天才だった」と「努力すれば人は変われる」のどちらですか?
野村 両方です。
松岡 両方!(笑)
野村 努力しても、ダメなものはダメですから。カメが空を飛びたいといったって無理でしょう? そういうと、「ガメラは飛べます」と反論する人がいるけれど、ガメラは歯があるから、カメじゃないんです。
松岡 すごい例えです。念願叶って、動物たちと一緒に過ごされていますが、病院は年中無休だそうですね。
「僕にとっての正義は動物を守ること。そのために生きています」──野村先生
野村 1年365日、僕自身は昼夜もなく働いています。
松岡 令和の時代の話とは思えませんが、やはり命にかかわるお仕事だからでしょうか。
野村 そのとおりです。術後の経過が心配な動物がいれば、従業員は帰して、大将の僕が朝までつき添うこともあります。心配なまま帰っても、自分が気持ち悪く、辛いだけですし。ただ、24時間営業はやりません。
松岡 それはそうでしょう。先生が倒れられたら大変です。
野村 なぜやらないかというと、夜はろくな客が来ないから。
松岡 どういう意味ですか?
野村 夜中の3時に「今からいいですか?」と電話があって、どうしたのか尋ねたら、「何時間かかってもいいので、カメレオンの飼い方を詳しく教えてほしいんですけど」って。そんなのばっかりですよ。