フェイスリフトを数ある選択肢の一つに
長年、美容医療の体験取材を続けてきた美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんが2022年、フェイスリフト手術を受けました。手術を担当した 自由が丘クリニック 中北信昭先生との対談をお届けします。
「たるみ改善の手術は、その人を違う顔にはせずに、自然にマイナス10歳若返らせます」
自由が丘クリニック総院長 中北信昭先生医学博士、日本形成外科学会専門医、日本美容外科学会専門医(JSAPS)。北里大学医学部卒業、北里大学病院形成外科准教授などを経て、2007年自由が丘クリニック院長、2017年~総院長。小児先天異常や顎変形症の豊富な手術経験を生かし形成外科・美容外科を担当。「『フェイスリフト手術のイメージが変わった』と周囲からいわれています」
美容・医療ジャーナリスト
海野由利子さん編集者を経て1989年フリーに。女性誌を中心に美容・健康・医療企画にかかわり、1998年から黎明期の美容医療の取材・体験を続け、安全性と効果の検証をしている。1959年生まれ。日本抗加齢医学会会員。皮膚を引っ張らないから自然な肌感をキープできる
海野 念願の手術から半年以上経って、すっかり落ち着きました。
中北 海野さんは傷の治りも早いし、麻酔が覚めた直後からいつもの感じで「楽勝」みたいな顔をしてましたね(笑)。
海野 安心したんですよ。視界はぼやけていましたが、先生やナースさんたちが笑顔で、うまくいったんだなと思って。術後の腫れも少なくて、10日後にはマスクをして仕事に出ていました。
中北 麻酔がよくコントロールされていると、出血が少ないので手術がしやすく、術後の腫れも少ないんです。
手術当日には執刀医の自筆で細かく計画が書かれたカルテを示されながら手順や内容を伝えられる。海野 皮下の筋膜を引き上げて、皮膚は引っ張らずに縫合すると聞いていたとおり、肌表面の突っ張りがなくて嬉しいです。適度なゆるみというか、大人らしい肌感は残りましたし。
中北 たるみ治療において効果が最も高いのは手術ですが、肌のきめやハリをよくすることはできないんです。当院ではヒアルロン酸注入や、肌細胞のダメージ回復を促す治療「ダーマペン」などを加える提案もしています。
海野 今回加えましたが、麻酔が効いている間にハードなダーマペンをするのは痛みを感じないし効率いいですね。フェイスリフトで先生が大事にしていることは何ですか?
中北 「やりすぎない」こと。術者として、はっきり効果を出したいという欲はあるので、勢いでやりすぎないよう気をつけています。切りすぎは筋膜や神経の損傷につながりますし。結果が物足りなければ追加はできますが、やりすぎたら後戻りできませんから。
海野 患者さんから「物足りない」といわれたことはあります?
中北 ないです。ありがたいことに。
海野 学会などで先生の症例は拝見しましたが、若返るし自然ですよね。私は術後、長年の友人・知人に「何年か前の顔に戻った」っていわれました。手術をしたら顔が変わる、というイメージが、けっこうあるようですね。
フェイスリフトは顔が変わる手術ではない
中北 「以前の顔に戻った」という感想はいいですね。たるみなどのエイジング変化を改善する手術と、若い世代に多い「形を変える手術」とでは目的が違うのです。大人はコンプレックスも含めて「自分の個性」として受容しているので、「エイジングによる変形は変えたいけど顔は変えなくていい」と。若い世代は違う顔、別人になりたいんですね。大人には、過剰ではない若返りとして、マイナス10歳を基準と考えています。
海野 エイジングが現れた顔とどう向き合い、どこを改善したいか? 医療を含めたさまざまな選択肢を知るために、医師のカウンセリングを受けるのはよいことだと思います。手術への理解も進むでしょうし、慌てずに将来のプランを考えられそうです。
Q.フェイスリフトを受けるのは何歳頃がいいですか?
A.たるみを改善したくなったら。皮膚・骨格の状態を考えると40〜50代がベスト「年齢とともに皮膚の構造が薄くなり、弾力が低下。顔面の骨の萎縮が始まると希望どおりの仕上がりになりにくいので40〜50代で行うのがよいとされています。もちろん個人差があるので、フェイスリフトを考えたら一度カウンセリングを受けるといいでしょう」(中北)
「注入や照射治療では改善しにくい、フェイスラインのもたつき、マリオネットラインが現れたら“しどき”だと思います」(海野)
Q.顔つきや表情まで変わらないか心配です
A.加齢による変化であるたるみ改善の手術は、以前の顔に戻るイメージ「たるんで伸びたぶんの皮膚を切除・縫合するので、たるみが起きる前の顔に戻るような仕上がりになります。また、たるみが大きく進んだ場合は、印象が激変しないように、あえて控えめの切除にするやり方もあるそうです。表情は長年のくせによる動きなので、あまり変化しないと思います」(海野)
「たるみの手術では、顔のバランスを変えたくない、違う顔になりたくないというご希望が多いです。カウンセリングでご希望をお聞きしながらプランをご提案します」(中北)
Q.信頼できるクリニックはどう探せばいいですか?
A.情報収集と同時にまず直接話を聞いてみることが大切です「手術となると、皮膚はもちろん神経や血管、筋肉、骨格までの専門的知識や経験・高い技術、そして美のセンスの共感が重要なので形成外科専門医であることが望ましいです。これらの情報がHPにきちんと載っていることも大切なチェックポイントです」(海野)
「今は情報収集しやすいですが、信頼できるかどうかは直接会って相談してみないとわかりませんよね。ご希望に対してどんな回答、提案をするのかなど、2、3軒比較してから決めてもよいと思います」(中北)