放っておかないこと、慣れてしまわないこと。若者も更年期世代も気になる女性のめまい、耳鳴り、難聴
天野惠子先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。ライフステージごとに生じるさまざまなめまい・耳鳴り
めまいを訴える女性はどの年代でも男性より多く、年代別に原因は異なります。
更年期に生じるめまいの大半は検査で異常の出ない自律神経の乱れによるもの。60歳を過ぎた頃から増えてくるのが良性発作性頭位めまい症で、メニエール病も60代以降起こりやすくなります。
実際はない音が鳴っているように聞こえる耳鳴りは多くが原因不明ですが、高血圧、糖尿病、疲労、ストレス、睡眠不足により悪化することがわかっています。
耳の構造
鼓膜の振動は耳小骨を伝って内耳に到達し、電気信号に変換されて聴神経から脳へ伝わり音として認識される。平衡感覚を司る耳石(カルシウムの小粒)は前庭の中の耳石器にある。
女性の「ライフステージ」と「めまい・耳鳴り」を起こす主な病気
思春期●起立性低血圧症
急に立ち上がった直後などに血圧が低くなりすぎて目の前が真っ暗になる、いわゆる
立ちくらみ。思春期特有の
生理的変化、不規則な生活、過度のダイエットなどにより
自律神経が乱れ血圧調整がうまくいかなくなることが原因。
成熟期●月経前症候群(PMS)
月経の3〜10日前にさまざまな精神的・身体的不調が生じ、月経が始まると治まる病気で、
めまいも症状の一つ。原因ははっきりしないが、
ホルモンバランスの乱れや
セロトニン(脳内神経物質)の不足などが考えられる。
更年期●突発性難聴
突然耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴う原因不明の疾患。40〜60歳代の働き盛りに多い。
ストレス、過労、睡眠不足、糖尿病がリスクとなる。
更年期●更年期めまい症
更年期症状の一つ。大半が検査をしても特に病的な異常のない
自律神経の乱れによるもので、
精神的ストレスや睡眠不足が関係していることが多い。
更年期~老年期●良性発作性頭位めまい症
寝返りや起床時など頭を動かしたときに生じる回転性めまい(景色がぐるぐる回る)。数秒から数十秒で治まり、難聴や耳鳴りは伴わない。
平衡感覚を司る耳石がはがれて半規管の中を浮遊することが原因。
老年期●メニエール病
難聴、耳鳴り、耳のつまり感など聴覚症状を伴うめまいを繰り返す病気。意識消失や手足のしびれなど脳の障害による症状を伴うことはない。
内耳のリンパ液が過剰な状態になり症状が引き起こされるが、誘因として
ストレスが関係していると考えられる。
★めまいには、このほか
脳血管障害、脳腫瘍、小脳出血、高血圧症など重篤な病気が隠れている場合があります。めまいが長く続くときは病院を受診しましょう。
※
次回へ続く。
*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:
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