養生とは、老化を遅らせ、病気にならない体をつくるために重要な生活習慣を身につけること。「人生100年時代」を生き、生涯現役を目指す私たちにこそ必要な心がけです。
集中連載「生涯現役!養生術」第1回では、90歳にして心も体も若々しく、使命感を持って活躍する大先輩・松田妙子さんの日常をご紹介します。
生涯学習開発財団理事長
松田妙子さん年齢を言い訳にしない。必要なのは目標と意欲
「生涯現役の秘訣? 私はそういう話が嫌いなのよ」と松田妙子さんがぴしゃりとひと言。
「目標と意欲がなければ、それを知ったところで意味はないでしょう。“90歳現役”って周りは驚くけど、私にとっては当たり前のこと」
たしかに松田さんは、おっしゃるとおりの人生を送っていました。65歳になったとき、“お年寄り”と呼ばれたくないと、いちばん嫌いなことに挑戦する試練を自分に課します。
「何だろうと考えたら、勉強でした。それから毎朝5時に起きて住宅の歴史を勉強して論文を仕上げ、71歳で工学博士号を取得しました。年齢を言い訳にする人は、年寄りになることを甘んじて受け入れるしかないわね」
実は松田さんは「生涯学習」という言葉の生みの親です。1983年に生涯学習開発財団を設立。いくつになっても学び続け、社会とかかわり続ける大切さを訴え、50歳以上での博士号取得の支援など高齢社会への対応に力を注いできました。
その生き方の基本に、両親や大叔父・叔母から受け継いだ社会貢献の精神があります。ただ世の中のために尽くすだけではなく「自分が何をすれば社会をよりよくできるか」を考え、自らの行動で手本を示してきたのです。
財団の本棚にぎっしり並ぶ松田さんの参考書。65歳で一から工学博士号取得の勉強を始めた。それに費やされた時間と労力の象徴が、この蔵書だ。