養生とは、老化を遅らせ、病気にならない体をつくるために重要な生活習慣を身につけること。「人生100年時代」を生き、生涯現役を目指す私たちにこそ必要な心がけです。
集中連載「生涯現役!養生術」第4回では、北里大学客員教授・伊藤 剛先生に、座りながらできるストレッチで身体のこりや痛みを解消する方法を教えていただきました。(
前回の「生涯現役!養生術」第3回はこちらから。)
北里大学客員教授
(東洋医学総合研究所漢方診療部・鍼灸診療部)
伊藤 剛先生筋肉のルート「経筋」を使って、離れた部分のこりや痛みも解消
中国医学では古代より、筋肉組織のルート「経筋」の概念を主に鍼灸治療に利用していました。
「たとえば足先を刺激すると肩こりや頭痛が治るのです。この魔法のような経筋は、自分で、座った状態でいつでも簡単に行えるストレッチにも応用することができます」(伊藤先生)
「足陽明経筋」を使った足先ストレッチは首や肩のこりを改善すると同時に、足先に血を巡らせる効果があります。硬くなった足指の筋肉が柔らかくなって、“踏ん張れる力”がつき、転倒予防にも役立ちます。
頭痛や首のこりに効くのが「手太陽経筋」を使った首肩ストレッチ。「首を左右に曲げる動作は頸椎を痛めることがあり、上下に倒しても筋肉全体は緩みにくい。首肩ストレッチは、ふだん伸びにくい筋肉も伸ばされて、広範囲の血管が広がり、顔のこりや頭痛の軽減も期待できます」
離れた部分の症状を“遠隔操作”で広範囲に治療
関節や筋膜、じん帯などの筋肉組織のつながりを経筋といい、手足の先から上半身、頭まで縦方向に12本走っています。
経筋は、ある場所で生じた痛み、引きつり、痙攣、麻痺などの症状を各所に伝えるため、鍼灸などの治療にも用いられる重要なルートでもあるのです。
経筋上のツボを刺激することで、離れた場所の症状を広範囲に緩和することができます。