大阪ウエルネス革命 第3回(全5回) 2025日本万国博覧会の開催が決定し、熱い視線と大きな期待が集まる大阪。世界中で長寿化が進行する中、万博では「健康」が重要なテーマの一つです。 そして“粉もん”文化が浸透する食の街でも今、低糖質化への挑戦が始まっています。ゆるやかな糖質制限食で、より美しく、健康寿命を延ばす。万博に向け、大阪の食はさらに進化し続けます。
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松尾英明さん
滋賀「招福樓」で修業後、実家の日本料理店を継いで四半世紀。「日本ならではの季節感を色濃く出した献立を考えています」と松尾さん。丁寧にとっただしさえあれば、奥深い味が生まれる
「日本料理 柏屋 大阪千里山」
住宅街にひっそりと佇む「柏屋」。ミシュラン三つ星に輝く、大阪が誇る日本料理店です。
「低糖質献立だからといって、それほどいつもと変わるわけではないですね」と穏やかにおっしゃるご主人の松尾英明さん。
「常でも使用することが少ない砂糖をラカントに替え、意識して根菜類を外したくらいでしょうか」。
「伝統的な和食の作り方を生かしながら、あえて油分をプラスする考え方は、まさに『ゆるやかな』糖質制限です」―山田先生
その結果、総糖質量が合計およそ20グラムという食・楽・健康協会 代表理事の山田悟先生も驚く献立が完成、お酒とのペアリングも可能になりました。
「だしがしっかりとしているからだと思います。丁寧にとっただしには、甘みもきちんと出てきますから」。(松尾さん)
さらに、時代の味覚に合わせて「油脂分のうまみをいかに加えるか」も松尾さんの大事なテーマの一つ。
「たとえば車海老をそのまま揚げてから殻をむく『生揚げ』。じか揚げほど油をまとわず、けれどほんのりと油の香りもうまみも残り、こくもある。修業時代に教えてもらった技が、今に生きるとは……。日本料理は温故知新ですね」。
献立の詳細は次ページでご紹介します。
一見普通の住宅を思わせる柏屋。門を開ければ、端正な世界が広がります。