風吹ジュンさん1952年富山県生まれ。75年にドラマ『寺内貫太郎一家2』で本格的に女優デビュー。以後、ドラマ『岸辺のアルバム』『あさが来た』『やすらぎの刻~道』、映画『無能の人』『魂萌え!』など、数多くの作品に出演。第74回(2019年度)毎日映画コンクールにて田中絹代賞を受賞。自身のお洒落や暮らしを語った新著『Wind』を2020年3月に上梓。生き方で輝く
風吹ジュンさん(67歳)
ドラマや映画の印象そのままの、ふんわりとした優しい笑顔で現れた風吹ジュンさん。プライベートでは60歳から始めた登山に夢中という、アクティブな一面も持っています。
くるくると変わる表情も語り口も仕草も、すべてが愛らしい風吹さんを輝かせているのは、周囲への溢れんばかりの愛情と、「この先を元気に過ごすため」の日々の努力でした。
トップス6万円 パンツ6万円/ともに3.1 フィリップ リム(3.1 フィリップ リム ジャパン)イヤリング313万円リング146万円/ともにショーメ〈 P.185〉トップス/スタイリスト私物「愛おしいと思える人がどんどん増えているの。ありがたいし、幸せなことです」
好き、愛情、愛おしい。この日、風吹さんが繰り返し口にしたのは、そんな愛情深さが伝わる言葉の数々でした。
人を包み込むような笑顔も「人に会うときは、できるだけ相手を好きという気持ちで接するようにしています」という思いに触れると、なるほどと納得します。
風吹さんが誰より愛情を注いでいるのはふたりのお子さん。
「子どもたちは私が守るべき宝であり、勇気を与えてくれる存在。ふたりが幸せでいてくれさえすれば、私は満足なんです」。
現在アメリカ在住のお嬢さんが第2子となるお子さんを今年2020年1月に出産した際は、連続ドラマの撮影の合間を縫って駆けつけました。
「持って行った圧力鍋でせっせと料理を作りました。息子一家は近所に住んでいるので、ときどき3歳と0歳の孫を預かります。孫たちの相手は体力がいるので、翌日は10時間くらい寝ちゃうの(笑)」。
ドラマの共演者も、風吹さんにとって愛情を感じる存在だといいます。
「最近では『やすらぎの刻(とき)〜道』で私の子どもを演じた6人の役者さんたちや、ほかの作品でご一緒した有村架純さん、芳根京子さんが本当に愛おしくて。ドラマが終わってもその気持ちは変わりません。
倉本 聰氏脚本の帯ドラマ『やすらぎの刻~道』の劇中劇では、夫役の橋爪功氏とともにヒロインの90代までを熱演。写真提供/テレビ朝日それから阿川佐和子さん!もともと大好きだったんですが、テレビ番組でお会いして、ときめいちゃいました。そんなふうに、愛情を感じる人がどんどん増えているんです。ありがたいし、幸せなことですよね?」。
微笑みながら問いかける姿は噓偽りなく幸せそうです。
「自分に甘いからこそ始めたトレーニング。70代も元気で山登りを楽しめそうです」
そんな風吹さんが現在夢中になっていることの1つが、山登り。それも、鎖を使って17メートル超の岩壁を登るような本格的な登山です。
ケガなく楽しむため、日頃からトレーニングをしていると聞くとストイックなイメージですが、風吹さんは笑って首を横に振ります。
立山連峰雄山にて。山登りを始めたのは、還暦を祝う中学校の同窓会で、登山家になった同窓生に誘われたのがきっかけ。「私は自分に甘いので、このまま何もしなかったら老け込むなと、50代のときに気づいたんです。それじゃつまらない、この先を元気に過ごすためにも体を鍛えなくちゃと思って、最初に始めたのが階段の上り下り。努力すれば、ちゃんと筋肉も体力もつくんですよ。まだまだ山登りも楽しめそうです」
登山以外にもしたいことがたくさんあるという風吹さん。
「読みたい本も観たい映画もいっぱいあるし、以前習っていた水彩画も再開したい。お芝居では“いいお母さん”以外の役も演じてみたい。だから、時間はあればあるほど嬉しいんです」。
そう語る瞳は少女のようにキラキラと輝いていました。
撮影/下村一喜〈AGENCE HIRATA〉(人物)、塚田直寛〈STASH〉(静物) ヘア&メイク/草場妙子 スタイリング/岡本純子〈Afelia〉 取材・文/清水千佳子 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー
『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。